東京医科大学医学部正規合格者が教える志望校合格までの3つのポイント

私の志望校の選び方

現役時代、どこも合格しなかった私は1年浪人した後、今に至ります。そんな私は、一般家庭の子供だったので、現役の頃から国立を目指すのが前提にありました。そのうえで私の場合、「医学部ならどこでもいい」という考え方のもと、入試科目の難易度から選びました。

 

何より最初に始めたのは自己分析からです。科目ごとに、客観性を失わないように自己分析をかけたところ、以下のようになりました。

①数学…典型的な問題までしか解けない。解法がすぐに思いつかないような問題は無理。

②英語…単語・文法問題はややニガテ。他の人にはキツイであろう長めの長文が速いスピードで読める。

③化学…可もなく不可もなく。理論の酸・塩基と有機の構造決定なら難しくても大丈夫。

④生物…これまた可もなく不可もなく。論述は比較的書ける方だと思う。

⑤センターと二次…センターが得意。そこで逃げ切りを図りたい。

 

この中で最重要なのは⑤です。センター:二次の配点比がセンターの方が高い大学をまず列挙しました。次に大事なのは①と②です。医学部は「いかに点数を落とさないか」が大事なので、数学のやや難の問題が出たり、単語・文法問題が出たりするような大学は志望校とはなりえませんでした。その条件である程度大学を絞ったのち、③、④の条件なども加えてさらに絞り込むと、候補は旭川医科大と琉球大の2つになりました。

 

その2つを比べたところ、前期はどちらでも勝負できる。だが、後期になるとおそらく琉球大の方が受かりやすい、ということになりました。国立の場合、後期の面接では「前期はどこを受けたの?」という質問が来る可能性が高い(実際、本番で訊かれました)ので、前期・後期ともに同じ大学にしようと思い、志望校は琉球大にしました。

 

国立の志望校が決まった後は私立の志望校決めです。当時の私には(というか私の家には)、私立に行くという考えはありませんでした。ですから、私大対策の時間というのは私にとって無駄な時間でした。そのような考えのもと、私立を受ける手は1つしかありませんでした。センター試験利用です。これなら私大対策をすることなく私立を受けられます。センター利用のある大学のうち、学費の面と受かりやすさの面から、チャレンジ校として順天堂大、実力相応校として東京医科大をうけることにしました。

 

ただ、一般で1校くらい受けておかないと、琉球大が入試1発目になってしまいます。なので、受かる気はしないし、特に対策をすることもないとは思いつつ、センターが終わった10日後くらいに入試のある昭和大も受けることにしました。

起死回生の学習計画術

志望校を決めてしまいさえすれば、計画を立てるのは簡単です。琉球大は英語を除いてごくごく標準的な問題が出題されます。私は、大学受験は暗記で乗り切れると考えている(というと予備校の先生方に怒られてしまいそうですが…)ので、数学・化学・生物はひたすら問題の解き方を覚え、英語は長めの長文読解を日々行うと同時に、これまた琉球大の特徴である100語以上の英作文対策をやろうと決めました。

 

春から夏前までは予備校の授業で精一杯になってしまったので、計画は夏から本格的に立てました。数学は元々あまり得意ではない上に、力をつけるのに時間がかかるので、夏休みから始めて、秋口にはある程度完成させておく。化学・生物は遅く始めても間に合うので数学がある程度片付いてから。英語は夏からずっとペースを変えない。大まかに言えばこんな感じです。

 

11月末までに国立二次試験対策の勉強を終え、12月からはセンター試験勉強のみとしました。そして、センターが終わり次第また国立二次試験対策を行う。私の計画の立て方の特徴は、科目・内容ごとに、時期を分けて、相当極端にメリハリをつけたところに特徴があるように思います。

 

そして、最大の特徴は、日ごとにやる内容を細かく指定し、1日でも計画がズレようものなら全てが台無しになってしまうようにあえてしたことです。予備校のチューターが「余裕のある計画を」とよく言っていましたが、仮に日曜日を調整日にした場合と日曜日も学習計画を入れた場合では、勉強量に1.17倍の差が生じます。この差は僕にとって非常に大きなものでしたから、日曜日だろうが構わず学習計画を組み込み、「休んだ瞬間今年の受験生活は終わりだ」と毎日自分にプレッシャーを与え続けながらやりました。どれだけキツくても耐えられるという自信のもとに立てた計画でした。

 

ただ、今から考えると、日曜日は調整日にしたほうがいいです。実際私は1日も計画をズラすことなく入試を終えましたが、それは私自身が体調を崩すことがほぼなく、短い睡眠時間でも問題ないからできただけのことであって、特別タフな体質に恵まれただけです。

 

また、正しいかどうかは別として、医学部受験をする人にとって「受験は暗記だ」という概念は大切なように思います。医学部に入って日々勉強していく中で、少なくとも基礎医学で言えば、理解する必要のあることはあまり多くないです。もちろん理解を要することも多いですが、何と言っても暗記するべき事項が膨大。理解するべき事項の数倍はあるのではないでしょうか。

 

解剖学なんかは理解するべきことはほぼゼロ。骨の名前(1つの骨の中にも場所ごとに色々な名前があるんです)、神経の名前、神経の走行、筋肉の名前、筋肉の付着部位、臓器の名前、筋肉の支配神経…全部暗記です。私の大学の教授に言わせれば、英語も暗記すべきだそうです。脳解剖学と人体解剖学の試験範囲は、教科書のページ数で言えば数えてみたら3000ページを超えていました。3か月弱で3000ページを丸暗記。私より先に医大生になった人たちが口をそろえて「受験はラク」と言っていましたが、いざその立場になると、受験勉強なんてラクだと思ってしまいます。

 

話が逸れましたが、要するに、医者になるには効率の良い暗記をすることが大事になってくるんです。受験勉強で使う参考書・問題集くらい、全部暗記できるくらいじゃなきゃ後々大変だと思います。

各科目の勉強法

科目別にお伝えします。

 

《数学》

夏休みから本格スタート。問題集は「理系数学の良問プラチカⅠAⅡB」「理系数学の良問プラチカⅢC」の2冊を使っていました。やり方がかなり特殊なので参考程度に。

 

どちらの問題集も1周目は20分かけて読み、2周目・3周目は5~10分くらいかけて読みます。4周目で初めて解いてみて、5周目は読む。6周目以降は4周目で解けていれば読むだけでいいし、解けていなければ再び解く。最低でも7周はやること。ざっとこんな感じです。

 

ポイントは、1~3周目で出来る限り解法を覚え、6周目以降に読むときは5~10秒だけしか見ないことです。ホントにチラ見程度。それで内容が頭に浮かばないようならまだ暗記が足りていないです。

 

この1~7周を7日間で終えることが重要です。短期集中でやります。つまり、初日は大問1~10の1周目、2日目は11~20の1周目と1~10の2周目、3日目は21~30の1周目と11~20の2周目、1~10の3周目。こんな感じで、1日最大70問の問題に触れていきます。

 

すべて終わるのは夏休みが終わって2週間くらい経った頃。それ以降は毎日全ての問題を1問当たり5~10秒で読みまくりました。1問10秒としても1日40分もあれば1周まわります。これを毎日やれば、入試を迎えるころには150週以上はまわせることになります。僕は、夏休み以降、センター数学の勉強を始めるまで1問たりとも自分の手では解かなかったです。それでもいざ解いてみると勝手に手が動きました。そのレベルまで持って行く。僕にとって数学は暗記科目でした。

 

《英語》

琉球大は短時間で文量の多い長文を読むことが求められたので、夏休み以降、とにかく長文の問題集を毎日解きました。具体的には「やっておきたい英語長文」シリーズ、「速読のプラチカ」「精読のプラチカ」など。速く正確に読み、解くことを大切にしていました。1度解いたらもう2度と解きません。よほど読めなかった文章をあとで読みなおすくらいです。そうやっていると、いつの日か速く正確に解けるようになっていました。実際、センター試験本番は、英語は制限時間80分のところ、私は50分で解き終わり、得点率93%でした。

 

単語は前期のうちにある程度やっていたので、夏休み以降はあまりやらなかったです。文法は「Next Stage」をすべて覚えるくらいやりました。20周はまわしたんじゃないかな。

 

それと、琉球大最大の特徴はなんといっても100語以上の自由英作文。これは高校受験でお世話になった先生がアメリカの大学・大学院を卒業していらしたので、その先生にお願いして対策してもらいました。環境整備もまた受験生の大事な要素だと思います。

 

《理科》

化学・生物は9月中旬スタート。河合出版から出ていた「化学ⅠⅡ」「生物ⅠⅡ」を先ほどの数学のやり方と同じようにやりました。特に生物は、数学と違って書く作業が大切だったので、これは7周まわしたあとも考察問題を中心に実際に自分の手で書いて解きました。それだけで十分自分の身についたと思います。

 

《センター対策》

これは極めて単純です。12月上旬から1か月半で、全ての科目の、課程上問題ない全ての過去問(国語は全部。数学・英語・理科・社会は確か10~15年分くらい)を2周解く。国語以外の過去問は全て覚えたし、理科・社会は解けなかった事項を参考書で徹底的に読み込み、覚えました。国語はそれまでの数カ月間ほとんど勉強しなかったのに、ただ解きまくるだけで現役時より16点upしたし、他の科目も軒並み点数upでした。以下に現役時の点数と1年浪人後の点数比較を載せます。

 

科目         現役時     浪人後

国語      124点    140点

英語      131点     185点

数学ⅠA         58点         94点

数学ⅡB         81点      97点

化学        71点      98点

生物        78点      83点

地理        66点         83点

合計            609点      780点

 

過度な表現をすれば、受験は学習計画を立てたときに合否が決まると思います。難しい問題集をやればいいってモンじゃないし、何も考えずただたくさん解けば良いってモンでもない。だからといって、1問1問に時間をかけていたら絶対間に合わない。要は緩急の付け方が大事なんです。私が浪人の1年間で解いた数学の問題は予備校の授業の分を入れてもたぶん300問弱。それで十分です。その300問を完璧にさえしてしまえば、(一部の大学を除いて)医学部の数学は標準的な問題ばかりですから、合格に必要な分は解けちゃいます。他の科目もそうです。志望校を決め、そこに出題される単元を適当なレベルで徹底的に解く。解法をひたすら覚える。そのために、志望校のレベルに合った問題集を各科目1冊買い、それを自分で定めた日数で割り、その予定通りにこなす。そうなるような計画を立てれば、きっとそれは正しい学習計画なのだと思います。

最後に

私はただの医大生なので、今の勉強がひたすら暗記であること、医学部の6年間はこの先もどうやらその生活であるらしいことしかわかりません。ですが、皆さんが医学部受験を終えた先に待っているのは決して楽な道ではないことならわかります。

 

入学直後、学長が言った一言が強烈でした。「君たちが6年間で全て覚えなければいけない教科書を積み重ねると自分の身長とほぼ変わらない。」とんでもない世界に入ってしまったもんだと思いました。さらに、これまた入学直後に他大の初期臨床研修医の先生のお話を聞く機会がありました。その先生は週6日病院に泊まり込み、休みのはずだった日も出勤したりしているそうです。あとで看護師の方から話を聞くと、その研修医の先生はとても熱心な先生のようで、患者さんから好かれているそうでした。これはあくまで推測ですが、つまり、真面目に医師になりたい人にとって、この世界はまるで生き地獄みたいです。私も大学に入ってから勉強がキツくて、もうすでに何度も逃げ出したくなりました。ですが、私は勉強し続けます。「医師の無知は病気の見落としを生む。そうすれば患者さんには最悪の事態が生じうる。それは即ち人殺しである。」ある先生がそうおっしゃっていたからです。

 

医学部受験はクリアするのがとても難しく、大変な努力・苦労を伴います。ですがそれは、医大生・医師になったあとの辛い生活に耐えられるかどうかを試しているのではないでしょうか。私は皆さんに医師になってもらいたいとは思いません。真面目に勉強し、少しでも良い医師になりたいと思い続けられる人に医学部にはいってもらいたいと思っています。頑張ってください。

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