聖マリアンナ医科大学医学部医学科正規合格 再受験生MKさんにお話を伺いました。
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私はいろいろ悩んだ末、文系大学を1年で辞めて医学部受験を決意したので、最初から本気モードでした。再受験生はなにより人生の方向転換をした以上、もう後戻りができないので追い詰められた状態にいると思います。それが結果的に功を奏したのか、必死に受験勉強を始めることができました。周りからは人が変わったようだと言われました。私にとっては、そのくらい大きな決断だったのです。
私が勉強を始めた頃、常に意識していたのは「自分の現状」でした。自身の学力と、入試に受かるレベルとの差がどれくらいあるのかを、常に意識し続けたことは、毎日勉強を続けることへのモチベーションになっていたと思います。
また、学力という大きな枠だけでなく、自分が苦手としている教科についても「自分の現状」の意識が大事だと思います。漠然と「この教科は苦手だな…」ではなく、その教科の特にどの分野が苦手で、その中でもどのような問題が苦手なのかを自分で分かっておくことで、先生にも相談しやすくなりますし、解決策が見つけやすくなります。
ですから、普段の勉強や模試などで解けなかった問題があったら、すぐに答えを見るのではなくて、自分に何の知識がないからこの問題が解けないのかをはっきりさせてから、解答を読み、足りなかった知識を覚えなおすことの積み重ねが受験勉強において大切です。そうすることで次に似たような問題が出たときに躓きにくくなります。
私はこのようにする前までは、解答を読んで分かったつもりになっていたり、どうしてこのような解答になるのかが分からない、というような状態になっていました。つまり勉強において大切なのは、今の自分の問題点を具体的にし、自分のやっている勉強や課題が何につながるかが分かっているということです。
よく言われることだと思いますが、テキストの予習、復習は本当に本当に大事です。特に私が重視していたのは予習でした。理由としては、自力で解ける問題とそうでないもので、授業の聞き方が変わってくるからです。
自力で解けた問題については、自分の解法と先生の解法で同じなのか、答えが合っていても、そのプロセスは正しいのか、などの全体の流れの確認になります。また、そうでない問題は、予習段階ではっきりさせておいた自分の躓いたところの情報の確認と理解になると思います。
授業の全ての情報を理解しながら、ノートに書き写せるのが理想だと思いますが、そうしようとすると、ただ板書を写すだけになったり、情報があり過ぎて眠くなってしまったり…ということになりがちです。なので、自分がその問題についてどのような情報を得たいのかをはっきりさせておくことが重要になってくるのです。またこうすることで、復習はグンと楽になります。
もちろん、予習にばかり時間をさく訳にはいかないので、問題を解く時間を20分、疑問点を探すのに20分と時間制限を決めて、ある程度のところで諦めることも大切です。私の場合は、これだと時間が足りなかったので、予習は1週間前に終わらせて、授業までの間、電車の中などのちょっとした隙間時間にその問題について考えたりしていました。このおかげで、かなり思考力はついたと思っています。
受験勉強を進めるにあたって、大切なことはスケジュールを立てることです。例えば、今年度の入試までの8ヶ月半の間のうち、4ヶ月を基礎固めに充てるとします。基礎固めのための参考書やテキストを決めたら、それを何周するのか、復習期間をどのように設定するのかを考えて、さらに細かく期間を設定します。そうすると、1日でどれくらいの量をやれば良いのかが分かると思います。
このように、期間を細かく分けていくことで、気持ちがダレてしまうことも無くなりますし、次に何をやればいいんだっけ…と迷うこともなくなります。もちろん、最初に立てたスケジュールは本当に必要があるなら臨機応変に変えていくことも大切です。自分の学力状況をみながら、慣れてきたら処理できる量を増やすとか、きつくなったら土日に分散して1日の量を減らすとか、いろいろ柔軟に調整するようにしましょう。
みなさんもこれまでずっと勉強を続けてきていると思いますが、1日どれくらいの時間、勉強しているでしょうか。殆どの人が10時間を超えて勉強しているかと思いますが、大切なのは勉強時間数ではなくて、集中時間です。また実際の試験は朝早くから始まるので、特に午前中に多くの集中時間をもっていく必要があります。
私は、試験は9時に開始するところが多いことから、頭が覚醒するのに必要な時間である3時間前から勉強を始めていました。そのために5時過ぎに起床、23時就寝と決めて1年を過ごしました。生活リズムを作ると、体もそれに合わせるようになり、授業中に眠くなることも少なくなります。
また、私はあまり集中力がないので、改善のためにストップウォッチで集中している時間を測って記録をつけていました。お手洗いに行くとき、休憩するとき、集中が途切れたなと少しでも感じたときは、すぐに止めて、また再開することで、集中モードに入れるようになったと思います。
参考書やテキストを決めるときには、それらをやり終えたときに、何が出来るようになっていたいのかを考えておくことが大切です。それは、参考書を進めていくうちに、目的としていることと違うと感じたら、思い切って変える必要があるからです。とにかく、受験は時間が無いので、目的と手段を間違えないように進めていく必要があります。
医学部、特に私立医学部の入試はとにかく時間が足りません。それに対応するには、問題の見た瞬間に解法が頭に浮かんでいる必要があります。どんなに体調が悪くても、試験時間があと10分しか残っていなくても、その問題が捨て問か否かを見極め、解ける問題だとわかったら、出題意図を考えながら瞬時に解法をいくつかリストアップする必要があります。そのためには、どの科目も定石問題は完全暗記の状態にしておきましょう。
しかし、ただ丸暗記をしたのでは試験本番で忘れてしまったり、どの解法を応用すれば良いのかがわからない、という可能性が高いです。なので、解法を覚えるときは、まず問題文の1つ1つの単語が何を意味しているのか、その解答の流れを理解した上で、何度も繰り返し解き、頭と体で覚えるようにするのが良いと思います。問題集やテキストの定石問題を集めたノートを使って、隙間時間に眺め見ながら頭の中で解法を思い浮かべるのも良いかもしれません。
模試は大切にしてください。模試は自分の位置を知る目安にもなりますし、本番のイメージトレーニングにもなります。私は入試本番の朝と昼に食べる物、会場に入る時間を決めて、それと同じように模試に臨んでいました。このおかげで、入試当日は模試と同じ程度の緊張感で迎えることが出来たと思います。
しかし、模試はあくまで指標です。判定が良くても落ちることは有りますし、逆にあまり良くなくても受かる人もいます。これは特に私立医学部に対して言えることだと思います。なので、判定が悪いからといって、模試の成績をあげるための勉強はしないでください。
模試に出る問題と入試本番の問題、与えられる時間には大きく差があるので、模試のための勉強をしても、入試の点数には、全くとは言いませんが結びつき辛いです。その代わりに、模試で間違えた問題はノートにまとめておくと良いと思います。このノートは自分の弱点だけが集められた問題集でもあるので、何回か見直すだけでも、力がつくと思います。
「自分の現状」を知るのには、模試以外にも過去問が使えます。まずは過去問を早めの段階(夏前など)で解いてみて、あとどのくらいの学力が必要なのかを自分で自覚することで、夏の学習の密度に差が出ると思います。
その後は、秋過ぎあたりからまた過去問を解き始めます。だいたいの志望校の過去問は年内に終わらせてください。直前期に過去問ばかりに時間を割くのは、本番に過去問が出るわけでは無いので時間がもったいなさ過ぎます。直前期は過去問の復習、足りないと感じた分野、前期と後期の授業、模試ノートの復習を行ってください。
過去問を解くときは、本番と同じ時間から始めてみるなど、常に入試当日を意識すると良いと思います。また、模試のノートとは別に自分の解答と解いたときの反省点や感想、時間配分をノートに書いておくといいです。次に解くときは、そのノートを見ながら反省点を改善していきます。さらに、ある程度大学別に枠を分けておくと、入試直前に対策を練るときや、自分が比較的点を取りやすい大学を調べるときに便利です。
受験は自分との戦いです。1年で絶対に受かるためには、時間をどれだけ有効に効率よく使えるかが勝負になってきます。ですが、休むことも大切です。自分を甘やかすのは駄目ですが、適度な息抜きは集中力もあがるため必要なことです。
また、しっかり睡眠をとり、体調を整えることは何よりも大事なことです。一度体調を崩してしまうと、大幅に勉強時間が削られることになりますし、入試本番だった場合、実力が発揮できずに大きく後悔することになります。
また身体だけでなく、メンタルに関しても自分を気にかけてあげてください。受験期は気持ちが張り詰めていて、自分が思っている以上に精神的に疲れていることが多いです。なので、友達や先生と話しをする時間をたまに作って、自分をコントロールしましょう。
辛いと思うことが多いと思いますが、その成果はこれから先、ずっと続きます。なので、まずはその成果を残りの8ヶ月半で積み重ねてください。目的と手段を間違えずに、やるべきことをきちんと出来ていれば、必ず努力が報われるはずです。来年の春を笑顔で迎えられるように、精一杯頑張りましょう!
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