どこの学部の入試も倍率が低迷するなか、医学部入試は10倍、20倍が当たり前の状況になっています。私立大学医学部の志願者数は2014年度入試以降10万人を超え続けていましたが、2019年度から10万人を切るようになりました。ただ、コロナ禍で必要とされる医療の世界に進みたいと考える傾向も依然として続く可能性があり、志願者数が大幅に減ることは考えにくいでしょう。
お父さま、お母さまと志望校について話していると、どうも大学への印象が違うみたい…と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、この30年で医学部の偏差値は大きく変化しているのです。まずはこちらの表を見てください。
2015年偏差値がトップの慶應義塾大学でさえ、30年前から偏差値は5ポイントアップしています。また、1975年に偏差値47.5ポイントだった杏林大学や、1985年には偏差値37.5ポイントだった愛知医科大学など、私立のいわゆる滑り止めだった医学部も2010年にはほとんどが偏差値65ポイントを越えてきています。多少の上下はあるものの、どの医学部も非常にレベルが高くなっていることが読み取れます。
昨今の状況を知らない親世代の方から、自分の志望校を「そんなレベルの大学…」などと言われてしまい、志望校について悩んでしまう受験生もいますが、気にすることはありません。30年前と比較して、現在の医学部受験がいかにハイレベルな戦いであるかは、データにはっきりと現れています。医学部に関しては、もはや滑り止めと言えるような学校がないというのが現状です。どの大学も、自分がこれと決めた志望校であれば、迷わず全力で突き進んでいくことが大切です。
また、近年では医学部によって国際基準を満たしたカリキュラムが組まれ始めているため、授業の密度も上がっており、医学部に進学してからの大学生活も親世代のころよりも大変だといわれています。
時にはこんなデータも使いながら、周囲の誤解を解いたり、理解を得たりして、しっかりと目標を定めて医学部受験に臨んでくださいね。
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