『迷いなし!医学部受験で物理選択した女子受験生へのメッセージ』

力学の基礎を固めるところから!

まずは固めるべき分野をしっかりと把握しておきましょう。物理は大きく5単元にわかれていて「力学」「電磁気学」「波動」「熱力学」「原子物理」の5つ。このなかでも特に重要なのが「力学」と「電磁気学」です。この2つはすべての大学で確実にでると思って間違いありませんし、力学を理解せずに他の単元に進んでも学習スピードが落ちるだけです。力学の最初から仕事とエネルギーの範囲までは真っ先にやり直しましょう。

 

かといって「力学」「電磁気学」の二つを順に完璧にしていこう、と勉強し始めると大変なことになります。力学も電磁気学も量が多く発展問題の難易度も非常に高い分野だからです。

 

これは物理に限ったことではないですが、まずはしっかり基本までを「全範囲」一度終わらせておくべきです。できる限り早く、浪人生なら7月中旬までに、現役生でも10月の頭には終わらせておきたいです。

標準レベル問題を徹底的にやる

もう一度書きますが、あくまで「しっかり基本まで」です。この時点で発展問題を気にする必要はないし、逆に公式をうろ覚えではダメです。基本的な問題なら解ける、という状態にしましょう。その上で標準レベルの問題集を完璧にしましょう。

 

セミナー物理を完璧にしていないならセミナー物理がいいです。繰り返し、標準~発展問題までしっかりやりましょう。よく学校でも配られる重要問題集もいいですが少し難しく標準問題までは理解していることを前提としているので、やるならセミナー物理後でいいです。重要問題集を超える難易度の問題集に手を付けるよりは標準レベルの問題集を繰り返すことを優先してください。

教科書と問題集のサイクルが重要

次に具体的な勉強方法ですが、真っ先に言いたいことは「問題集だけ持ち歩いて勉強をするな」です。問題集に書いてある公式を使って問題を解き、その解き方を丸覚えしても物理ができるようになることはありません。公式の意味やその問題が扱っている物理現象がどういったものなのか、教科書や参考書などの「物理現象の説明」が書いてあるものを片手に問題集は解きましょう。

 

授業を聞いたり教科書を読んで物理現象を(ある程度)理解する→問題集の問題を解いて理解が正しいか確かめる→また教科書を読んで理解を深める、といったサイクルができることが望ましいです。教科書だけ読んでもダメ、問題集を解くだけでもダメ、まずは両方やってみてください。問題だけ解くようになるのは標準問題を完璧にしてからだと思いましょう。

じっくり深く考えるトレーニングを

また、よくある相談のなかに「物理は1問解くのに時間がかかりすぎる」というものがありますが、これはもう必要な時間だと思ってしっかり考えて解いてください。物理は時間がかかります。その分、1問1問の内容は濃く、重要なパターン問題の考え方はほぼそのまま入試に出ることも多いのであせらず着実にできることを増やしていきましょう。

図を描けるようにしよう

勉強をしていく上で気を付けておきたいことは「図を描くこと」「グラフや図から状況を読み取れるようになること」そして「すぐに答えをだそうとせずに問題の条件を図や数式にするとどうなるか考えること」です。

 

図を描くことは何も力学や電磁気学だけではありません。波動や熱力学、原子物理でも図は多用します。図を描くことで問題の状況を頭のなかだけでなく視覚的に整理できるので、その分、脳の容量を問題を解くことに集中して使うことができますし、ケアレスミスも少なくなります。また、図から「どの変数がわかれば問題が解けるか、置いた変数の数に対応する式が立てられるか」というように解法の方針が浮かび上がることも多いです。

グラフの読み取りもしっかり!

グラフが与えられる問題の多くはパターンがそのまま使えるものが多いので、事前にそのグラフ特有の考え方などを学んでおけば高得点のチャンスになります。グラフの読み取り方などは何となく理解できた、で済まさずに完璧を目指してください。

問題の条件を図や数式で表してみる

「すぐ答えをだそうとせずに~」についてはよく(特に高校1,2年生の物理が苦手な子などに)言っていることです。物理が苦手な人は例えば「速さを求めよ」という問いに対してすぐに速さの公式を書いてしまうのです。そしてその公式の中に未知数があるために結局は求まらない、となってしまいがちです。

 

公式さえ書いてしまえばすぐに答えがでてくる問題も中にはありますが、多くは「問題の条件を図や式で表した結果、求めたいものが出てくる」という流れで求まります。公式を使って終わりではなく、この条件は図ではどうなるか、式はどう立つのか、しっかり考えていく必要があるのです。ここで大切なことは通常の医学部で完全に初見というタイプの問題はあまり出ない、ということです。事前にしっかり標準レベルの問題集を終わらせておけば、図の書き方や式の立て方は自ずとわかるようになっていますし、医学部特有の特殊な問題は過去問を解いた上で基礎学力がついているなら立式できるはずです。

楽しみを実感できるようになるまで続けること

物理は解き方を丸覚えしても合格ラインには達しません。しかし、恐れることは全くないのです。標準レベルの問題をしっかり着実に解けるようになれば、ある時を境に点数は一気に伸びます。一つ目の山を越えてある程度問題が解けるようになれば物理はどんどん面白くなっていくし、一度わかってしまえば同じ単元では似たような問題が多い、ということにも気づけます。女子はどうしても物理が苦手になりがちですが、物理を通じて学べることも多いので、ぜひ楽しみながら勉強をしてください。

鵜呑みにしてよいこともある

最後に一つアドバイスをすると、物理では「鵜呑みにするべきこと」とそうでないことがありますが、この鵜呑みにするべきことに引っ掛かり過ぎると「よくわからない」というイメージが先行して物理全体がわからない、という感想になってしまうことがままあるので、非常に原理的な話(たとえば万有引力の式の形や最大静止摩擦力が垂直抗力に比例することなど)はそういうルールなのだと自分自身を無理矢理でもいいので納得させて先に進んでください。逆に考えて導ける式などはしっかり導いていきましょう。

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