『2016年度から導入される女子医の小論文とは?』

来年度から新しく導入される小論文の狙い

東京女子医科大学では、2016年度一般入試から新たに「小論文」が課されることになっています。昨今問題になっている医師の資質や適正を審査したり、少人数のディスカッション形式の授業を展開する「テュートリアル教育」に適応できる人材かを見るためだと考えられます。

 

臨床医にとってもっとも重要な要素の一つがコミュニケーション能力です。大学に入学すると、学生たちとの共同生活や、世代や性別の違う教授たちとの共同研究など、幅広く多くの人たちと会話をすることが求められます。さらに、社会に出ると様々な価値観をもった患者やその家族、あるいは医療スタッフたちと関わることになります。

 

学生時代では、好き嫌いの狭い価値観で通じたかもしれませんが、社会に出るとそうはいきません。そうした他者の視点で物事を見つめ直す視野の広さや、多様な価値観の人々を受け入れる心の広さを備える必要があります。

 

このように、人として成熟した医師になるためには、「自己と他者」あるいは「公と私」をしっかり区別し、冷静に判断する能力が重要です。

どのような問題になるのか

小論文の内容については、大学説明会で質問しても答えてもらえませんので、一般的な対策をしておく必要があります。小論文には、一般に課題文型、テーマ型、資料・写真・絵型などに大別されます。多くの大学では、課題文が提示される形式となっているので、まずは課題文型の対策をしましょう。

 

具体的には、与えられた本文の要旨を100字程度で要約したうえで、それに対して自分の考えを筋道立てて説明する必要があります。

 

要約の仕方は、最初か最後に結論部分がある場合は、それを抜粋します。もし本文中にキーワードが散在している場合は、それらを一貫した自分の言葉でつなぎ合わせる必要があります。要約の練習については、金沢医科大学や北里大学などの過去問に挑戦してみると良いでしょう。

 

次に、自分の考えを説明する方法ですが、自分の立場を明示したら、その理由や身近な具体例を挙げて論を膨らませます。なるべく自分の体験談やニュースなどで目にした内容を書きましょう。まったく頭に浮かばないときは、教科書事例的なものを創作するしかありません。岩手医科大学や福岡大学、日本大学などの過去問が良い練習材料となるでしょう。

 

これで、完成となります。医学部の小論文は、個性が光るような「受かる答案」を目指すのではなく、社会常識に裏づけされた「落ちない答案」を書くほうが重要です。多くの場合、1次試験の結果でほぼ決まるようですので、白紙提出や論点ズレなど致命的なミスをしないように、守りの答案を目指しましょう。

万が一の問題が出たら…

もし写真や絵などが出てしまったら、おそらく何を書いたら良いか分からず、現場で混乱する受験生が多いはずです。現に、順天堂大学や東海大学では課題文ではなく、まったく医学や医療と関係のない写真や絵が毎年出題される傾向にあります。念のため、そうした大学の過去問をチェックしておきましょう。対策としては、無理に医学や医療の話題に結びつける必要はなく、その場で思いついたことを素直に書くことをお勧めします。

 

そういう場合は、大学側は模範答案を用意しているとは考えられませんので、自らの良識にもとづいて自由に書いて構わないと思います。決まった答えがないのが小論文であり、そこが他の科目と決定的に違います。ですから、心配せず、自分の思ったことをわかりやすく説明してみてください。

 

もし迷ったまま書くと、その迷いが答案に出てしまい、採点官までも迷わせてしまいます。評価の高い答案とは、一読了解できるものです。途中で何を書いているんだろう? と採点官に思わせてしまったらアウトです。書く前に答案構成をして、何をどの順序で書くのかを決めておきましょう。

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