医学部受験においては、自分のペースを維持しながら勉強することが最も大切だと思います。先生方や先輩方の勉強の仕方を取り入れることももちろん大事ですが、それに頼りきってしまうだけでなく、色々アレンジして自分なりの勉強法を見つけ、実践するのが良いと思います。
実際に受験をして感じたのは、私立医学部の受験は基礎的な問題が多く、それらの問題をいかに落とさず解けるかが合否を決めているということ。ですから、難しい応用問題で点数を上げる努力をするよりも、基本問題を確実に解けるように勉強するほうが合格への近道だと感じました。この基礎力というのはすぐには身につきません。私自身、特に理数系科目の基礎である「計算力」を身につけるのはとても苦労しました。
現役時代、私の数学の勉強方法は応用問題の解法をとにかく覚える、というものでした。その結果、試験では計算ミスが目立ち、成績も伸悩んでいました。そこで、メディカルフォレストで「数理的処理トレーニング」を受講し、「計算力」を意識した勉強に切り替えました。基礎問題は計算ミスをなくし、確実に正解するように取り組み、その上で応用問題を解くことで、着実に成績は上がっていきました。
また、「数理的処理トレーニング」では、ひとつの問題に対して様々な解き方を他の受講生と話し合う時間がありました。これは、答えが合っているかどうかだけでなく、同じ問題に対して様々なアプローチの仕方があると気づくきっかけになりました。他の受講生と一緒に学べたことで、いい経験になったと思います。医療現場に出て、よりよりチーム医療を実現させるためには、ひとつの問題に対して複数の解決策を提示し、最善の方法を相談し決定することが大事になってきます。問題に対する解き方がひとつだけとは限らない、ということの実感は、医学生や医師になっても生かせるのではないかと思います。
私の場合は推薦入試だったので、一般入試とは少し異なるのですが…。推薦入試で求められたのは、やはりすべての科目に共通して基礎力でした。そして、それを発揮するには日頃から基本を徹底して勉強しているかどうか、それに尽きると思います。付け焼刃では通用しませんから、特に英語と数学の勉強は毎日コツコツと積み重ねておくといいと思います。また、基礎力を問われるからといって問題が簡単というわけではないので、深く掘り下げて本質を理解したうえで、しっかり演習を行ってください。あくまでも、「基礎力が付いていれば解けるはず」の問題が出題されるのです。
小論文については、メディカルフォレストの授業で十分対策ができたと思います。文章を要約したり、自分の経験のなかから具体例を探したり、積極的に自分の意見を表現するなど、根本的な日本語力を鍛える指導をしていただきました。また、面接は、メディカルフォレストのマナー教室が非常に役に立ちました。ビデオカメラを使って、自分の挨拶の仕方や歩き方、お辞儀の仕方などを録画し、ANAのスタッフの方に細かく指導をしていただけたことはとても貴重な体験でした。また、志望動機は授業で何度も話したり、文章で書いたりしていたので、面接で聞かれてもスムーズに話すことができましたし、焦ることもありませんでした。
これから受験に臨む方へ伝えたいことは、自分を追いつめすぎず、適度に息抜きをしながら、自分らしく勉強してほしいということです。受験勉強はつらいことも多くあると思いますが、自分自身の力を信じて頑張ってください。