生物は平均点がとりやすい科目です。しかし、高得点をとることが難しい科目でもあります。暗記科目だと思われがちな生物ですが、暗記をひたすら頑張れば、短期間で一発高得点を狙える科目ではありません。
実は、積み重ねがとても重要な科目なのです。他分野間とのつながりが見えてきて初めて、平均点から一つ抜けた得点をすることができるのです。また、高得点を取れるようになると、比較的安定して、高得点を取り続けることができる科目でもあります。受験生にとって、大きな武器になりうる科目です。生物を大きな武器にするための学習方法について、考えてみましょう。
生物の学習は、暗記を先にするのではなく、全体像を把握することから始めましょう。たとえば、呼吸のしくみについて理解するときに、「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」の反応式や、反応過程の物質から覚えようとしても、よほど暗記が得意な人でなければ難しいでしょう。
しかし、グルコースからエネルギーを取り出す過程であるという大筋を理解し、そのエネルギーがどのように取り出されているのかに注目すると、水素の動きがとても重要であることがわかります。
このように、まずは、現象の全体像を見てイメージをつかみ、大きな骨組みを作って、それから用語の知識などを付けたしていきましょう。用語を忘れることがあっても、一度つかんだイメージは、忘れにくいものです。
生物の学習は、成績上位層になればなるほど、他の分野との結びつきが、とても重要になってきます。生物で取り扱う内容は、分野ごとに分けられていますが、一歩引いて考えると、「一つの生命体の中で起こっている現象」や、「一つの生態系の中で起こっている現象」についての学問であることが見えてきます。
生体内で起こる化学反応は様々ですが、その多くに「酵素」が関与しています。酵素は「遺伝子」の発現によって合成されます。この発現する遺伝子の違いによって、同個体・同遺伝子での細胞でも働きの違う「細胞・組織・器官」となり、動物の生体内で、「免疫系」・「神経系」・「内分泌系」など、様々な役割を与えられます。分野にとらわれた学習では、生物全体の学習の意義を見失ってしまうことが多くなります。
他分野とのつながりをみつけることは、生体で起こっている現象が起こる原因や、その現象の意味を理解するのに必要です。そして、現象の原因・意味を理解することができると、生物全体の理解度がぐっと高くなります。
生物の用語には、定義があります。考察問題は、特に日本語力が必要になります。日本語をしっかり読み、分析する力、また、読み手に正しく伝わる文章を書く力が不可欠です。
生物の実験問題では、初見の内容が取り扱われることが多いです。その際、初めて見た単語に惑わされず、そのしくみを読み取るためには、読解力が必要です。そして、問題を正しく読み取ることができれば、実験問題を考察することは、それほど難しいことではありません。一度、実験問題をじっくりと時間をかけて読んでみてください。
きちんと理解するまで読むためには、生物の知識よりも日本語力が必要であり、きちんと理解するまで読めば、問題を解答することは、難しいことではないことに気が付くことができるでしょう。
最後に、すべての学習に共通して言えることは、事象をビジュアル化すること、つまり、絵や図を描くことが大切であるということです。絵や図を描くためには、その事象をしっかり理解していることが必要になります。
絵や図を描くために、その事象について、詳細を自分で調べ、疑問を解決していくことが、生物に対する、より深い理解につながります。また、ビジュアル化することで、インプットだけではなく、アウトプットもしやすくなります。積極的に絵や図を描いて、より生物についての理解を深めましょう。