保護者の方が受験生に対してあれこれ言ってしまう理由、それは大概の場合、漠然とした不安感情に起因しています。簡単にいえば、「わが子がしっかり勉強している」という確信を得られないから不安になるということです。
保護者の方は受験生が勉強している姿を常に見ているわけではありません。また、予備校や学校で勉強をするスタイルの受験生の場合は、自宅でリラックスしている姿、つまり「オフ」のときの姿ばかりを目にしてしまうことになります。
「努力が報われてほしい、合格の夢を応援したい、叶えてほしい」という親心があるからこそ、勉強している姿が見えないことで、ついつい厳しい言葉が口をついてしまうのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、学習計画の「見える化」です。あなたの努力をしっかりと伝えることで、親の不安を払拭し、親から理解のない言葉を受けることがなくなるだけでなく、必要なサポートを受けることもできるようになります。
学習計画を親と共有することで得られるメリットは大きくふたつあります。
まずひとつめのメリットは、あなた(=受験生自身)の意思を具体的に伝えやすくなるという点です。
学習計画を立てたときの
① 自分で決めた志望校合格に向けて、
② 自分の状態を自分で判断し、
③ いつまでに何をどこまですべきかを自分で決めて
④ 自分自身で実践していく
という強い思いを、順序立てて説明することで、あなたがいかに考え、具体的にどのように努力しているのか、理解してもらうことができるはずです。
また、細かい科目や単元の内容はわからなくても、具体的な参考書のページやチェックテストの成果を示すことで、必要以上に親から厳しい言葉が出ることはなくなることでしょう。
ふたつめのメリットは、サポートのお願いをしやすくなるということです。
保護者の方はあなたを応援し、支えたいという思いがあります。しかし、あなたが具体的にどんなことをして欲しいのかがわからないのです。
そこで、学習計画を示しながら、「この期間は勉強に集中したいので、家族での外出の予定を入れないで欲しい」とか、「自分には家よりも、自習スペースなど集中出来る場所で勉強する方が向いているので、家ではゆっくり過ごさせて欲しい」など、あなたの勉強しやすいスタイルや、そのためにどうして欲しいかを伝えてみてはいかがでしょうか。要望やその理由を具体的に伝えれば、きっと必要なサポートを受けることができるはずです。
結局のところ、受験をするために一番頑張る必要があるのも、実際に頑張っているのも、あなた、つまり受験生自身です。そして、ストレスはあなたの一番の敵です。つまり、周囲に自分の状況を説明することを面倒がってしまったり、「どうせわかってもらえないから」と諦めてしまうことで、結局は孤立し、自分を追い込んでしまいます。
たしかに親子の関係だと、些細なことでイライラするのも分かります。が、少し視点を変えて、一番身近なサポーターである親や家族と良好な関係を築いたほうが、なにかと自分にメリットが返ってくると考えるようにしてみましょう。
他方で、保護者の方には、不安になる気持ちをぐっと堪えて、ピリピリしがちな受験生の生活環境に細心の配慮をお願いいたします。お子さまが食事、睡眠、休憩をとりやすいように、場の空気を読みながら、そばで温かく見守ってほしいと思います。
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