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必ず出る!小論文・面接試験における最頻出テーマ④遺伝子・生殖補助・再生医療

今回のテーマは、最近よく話題になっている、遺伝子医療、生殖補助医療、再生医療をめぐる問題です。面接では頻出テーマであり、小論文でも最近の社会問題を出題する傾向にある大学では非常に狙われやすいテーマです。正確な知識を整理し、自分の見解を示せるようにしておきましょう。

1. 遺伝子診断

遺伝子診断とは遺伝子検査を通して疾病を診断することをいう。遺伝子が関係する遺伝性疾患には、単因子の遺伝性疾患と多因子の遺伝性疾患がある。前者は、重度の先天性の疾病のように、1つの遺伝子に重大な異常があり、それが原因でほぼ確実に疾病が生じるものである。後者は心臓疾患や高血圧、がん、肥満、糖尿病などのように、複数の遺伝的要因と環境要因が合わさって生じる。

2. 遺伝子診断の利点と問題点

遺伝子医療の中では、遺伝子診断において倫理上の問題がある。確かに、疾病の予防や早期発見・早期治療という利点もある。診断の結果、遺伝子の特質がわかれば、将来自分が罹り得る疾病の可能性を把握でき、遺伝情報をもとにして個人個人にふさわしい医療を実現できる。これをオーダーメード医療という。これは患者のQOL(生命の質)の向上や、患者の「知る権利」の尊重につながる。

 

しかし同時にいくつかの問題点もある。まず、治療法がない病気の場合に不治の遺伝病であることを告知しなければならないことになる。また、発病の可能性にすぎないのに、すでに病気に罹ってしまったと捉えられてしまう可能性もある。これによって、患者のみならず、その家族や親族にも精神的に不安定な状態をもたらしかねないという問題が生じ得る。そのため、患者とその家族や親族に対する十分な精神的なサポート、患者の「知らないでいる権利」の尊重などが求められる。

 

また、保険会社が保険加入の条件として遺伝子診断を義務づけたり、結婚相手を選ぶ際に、相手の遺伝子から将来どんな病気に罹り得るかを調査しようとしたら、差別やプライバシー侵害の問題も生じ得る。そこで、不合理な差別が生じないように、またプライバシー権を侵害しないように十分な議論を尽くしたうえで法制度の整備が必要となる。

3. 着床前診断や出生前診断

生殖医療の中では、着床前診断や出生前診断において倫理上の問題がある。体外受精で得られた受精卵の遺伝子を調べる着床前診断(受精卵診断)では、重篤な遺伝性疾患を診断する場合は倫理上認められるかもしれないが、親が特定の遺伝形質、たとえば容姿や知能などを求めて受精卵を診断する場合は、優秀な遺伝子をもつ胚を選別して妊娠・出産する、いわゆる「デザイナーズ・チャイルド」という考え方や、より優秀な人間を作りたいという優生思想につながり、正当な医療行為というべきではない。

 

したがって、遺伝子診断は医療目的に限定し、それ以外の診断は制限する必要がある。そして、何より医師や研究者自身が、遺伝に関する見識を深めて、倫理意識を持ち続けなければならない。たとえば、産科婦人科学会の医師たちは、実際にガイドラインを作成し、重篤な遺伝性疾患に限って着床前診断が認められるべきとして、無制限の着床前診断を禁止している。

 

また、胎児の遺伝子を調べる出生前診断(胎児診断)では、何らかの障害が胎児に見つかった場合、人工妊娠中絶を認めるべきかが問題となる。日本では母体保護法によって、身体的または経済的理由など、条件付きではあるが人工妊娠中絶が認められている。もし先天性の障害があるからといって中絶を認めることになれば、障害を持つ生命の否定や、より優秀な人間を作りたいという優生思想につながりかねない。

 

この問題を解決するには、医師たちがガイドラインを作成し、倫理原則を確立することが求められる。さらに、出生前診断を受ける夫婦に対して、障害が見つかった場合に、障害児の親になる意味を一緒になって考えいくことが必要であろう。

4. 再生医療

1996年、イギリスのロスリン研究所でクローン羊である「ドリー」が誕生した。その後、アメリカの科学雑誌にヒトの胚性幹細胞、ES細胞(Embryonic Stem Cell)株樹立を報じる論文が掲載された。これによって、ES細胞による再生医療が注目されるようになったのだが、2001年、アメリカ政府はヒトのクローン研究に反対する声明を出し、日本でも2000年、クローン規制法(ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律)が成立し、クローン人間をつくることが禁止された。

 

クローン人間をつくることは、人間の尊厳に反するという倫理的な問題があるだけでなく、安全性が医学的に確保されていないということもあり、認められるべきではない。しかし、医療目的のヒトのクローン胚研究まで禁止されるべきではなく、ES細胞は臓器や骨、皮膚、神経などになり得るため、ドナー不足が深刻な移植医療においては、さらなる研究が期待されている。

 

もっとも、ES細胞は受精卵を破壊してつくる点で倫理的な問題があり、また拒絶反応があることから批判されている。そこで、2007年、日本でヒトの人工多能性幹細胞、iPS細胞(induced Pluripotent Stem Cell)が京都大学の山中伸弥教授によって樹立された。iPS細胞は人間の体細胞からつくられるため、ES細胞にあるような倫理的問題がないし、自分の体細胞からつくるので、拒絶反応もない、とされている。ただ、生命の根源である精子や卵子などを作ってよいのか、また目的の細胞に変化しないまま体内に入るとガン化するリスクもあるなど、iPS細胞にもあらたな問題が生じている。

他のテーマについても考えてみよう!

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必ず出る!小論文・面接試験における最頻出テーマ⑤感染症をめぐる問題
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