今回のテーマは、感染症をめぐる問題です。長年にわたり感染症との戦いは続いて折り、終結しそうにみえてまた新たな感染症が発生する事態が続いています。その点で面接では頻出テーマす。エボラ出血熱やデング熱など、最新のニュースに目を光らせておくようにしましょう。
細菌やウイルスなどに感染することによって起こる病気をいう。1999年制定の感染症予防法によって類型化されている。一類感染症は、エボラ出血熱、ペストなど。二類感染症は、結核、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザなど。三類感染症は、コレラ、腸チフス、腸管出血性大腸菌(O157)など。四類感染症は、日本脳炎、A型肝炎、E型肝炎、狂犬病など。五類感染症は、ウイルス性肝炎、インフルエンザ、破傷風など。
20世紀に入り、抗生剤やワクチンが開発されるようになると、ついに人類は感染症を制圧できるようになるとも思われた。しかし、現代ではAIDS、SARS、BSE、豚インフルエンザなどが新たに出現している。これらは新感染症といい、新興感染症と再興感染症に分類される。
新興感染症とは、新しく認識されたもので、局地的または世界的に公衆衛生上問題となっている感染症をいう。これに対して、再興感染症とは、すでに認識されているもので、いったん公衆衛生上問題とならない程度まで患者数が減少したものの、再び流行しはじめている感染症をいう。
感染症の原因は細菌とウイルスであるが、新興感染症の大半はウイルスが原因である。このウイルスはもともと野生動物に寄生していたが、人間が野生動物の世界に入り込んだり、野生動物がペットとして飼育されるようになったことで、人間社会と野生動物の世界が重なり始め、人間へと感染するようになった。
感染結核やコレラなどの細菌感染症については、抗生剤の発見によって激減したが、最近抗生剤に耐性をもつ細菌(耐性菌)が出現している。抗生剤に耐性をもつ菌を薬剤耐性菌、複数の抗生剤に耐性をもつ菌を多剤耐性菌と呼ぶ。これらは抗生剤の安易な使用、不適切な使用によるところが大きいので、医療現場での抗生剤の適正な使用を徹底しなければならない。
さらに、院内感染を防ぐには、早期発見・早期診断・早期治療が大切であり、医療機器や衣服の消毒の徹底や、院内の清掃や手洗いの励行など、当たり前の行為を日頃から徹底したり、院内感染対策のための専門スタッフの養成や、ガイドライン作成による感染管理の実施が必要である。
一方、AIDSやSARSなどのウイルス感染症に有効な化学療法剤は、一部の感染症に有効なものしかないので、新たな抗生剤の開発が求められる。また、人や食材の移動が活発な現代では、地球規模で感染情報の共有が必要である。感染後の対策としては、発生状況の把握など正確な情報を収集、開示すること、病原体を特定し、プライバシーを尊重したうえで患者を隔離すること、迅速に診断をして治療をすることである。
過去にHIVの初感染者が同性愛者であったことから、HIVが同性愛者特有の病気であるという偏見が社会に広まったことがあった。また日本でも政府がハンセン病患者に対して療養所に隔離するという差別的措置を講じた事例があった。その結果、ハンセン病は感染力の強い病であるという誤った情報が世の中に広まり、患者たちが結婚や就職すらできず、社会から迫害を受けることになった。
パンデミック(感染症の世界的大流行)になってしまうと、多くの人が混乱し、誤った情報が流れ、感染者が差別されてたりプライバシーが侵害されたりするケースがあるので、慎重に行動する必要がある。
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