フォレストクイズ25①

2025年4月21日

皆さんこんにちは。昨年(2024年)から始まった「フォレストクイズ」は2025年度のフォレストブログでも更新していきます!「フォレストクイズ」とは、ニュースで耳にするホットな科学に関する話題や、更新日に関係する科学史上の出来事などをクイズ形式で取り上げるシリーズ企画です。しばらくはおよそ2週間間隔で更新していきますので、ぜひ楽しみにしてください!
さて、今年度のフォレストクイズのスタートは将来の医学に大きくかかわるであろう話題から。

Q.今月(2025年4月)中にも全自動で製造する施設が稼働する予定である、患者自身の細胞から作られ、拒絶反応なく移植できる「iPS細胞」のことを何という?

~~答えは下にスクロール~~

A.自家iPS細胞(my iPS細胞)

他人の臓器を移植する際、移植された臓器を異物だと認識して排除しようとしてしまう体の反応を「拒絶反応」などと言います。人間の免疫反応として自然なことではあるのですが、これでは臓器移植が失敗してしまいます。
「iPS細胞」は人間の体細胞に少数の遺伝子因子を導入して、ほぼ無限の増殖能力と様々な組織・臓器の細胞に分化する能力を得た「人工多能性幹細胞」のことで、様々な医療技術への応用が期待されていますが、一方で他人の細胞から作られたiPS細胞では変わらず拒絶反応の問題は残されていました。「HLA(ヒト白血球型抗原)型」と呼ばれる血液を持つ人から作られた「拒絶反応が起こりにくいiPS細胞」の研究も進んでいますが、「患者自身の細胞から作られたiPS細胞=自家iPS細胞(my iPS細胞)」の研究が進めば「拒絶反応は起こらないはず」ということでその実用化が期待されています。
これまでiPS細胞は手作業で製造を行っており、その分時間と費用がかかってしまっていました。現状ではある患者からiPS細胞を製造するためには数カ月、数千万円というコストがかかるそうです。この問題を解決すべく2019年に設立されたのが「iPS財団」であり、「my iPS細胞プロジェクト」です。その目的は「年間1000人分の細胞を製造可能で、1人分100万円程度で提供する施設の、2025年3月ごろの実用化」です。そしてその実現のために、全自動での閉鎖型培養装置で細胞を製造する技術を導入してコストを下げることとしました。これらの施設での製造許可が降りれば、今月中にも稼働が開始、早ければ2028年には臨床試験が開始されます。

先日には初めて糖尿病患者にiPS細胞を用いた膵臓組織を移植する手術が日本国内で行われ、その経過は良好と発表されているほか、iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療法に有効性が認められたという治験結果が出るなど、iPS細胞関連のニュースが続いています。iPS細胞が将来の医療を大きく変えることとなるのか。非常に楽しみですね!

さて、新生活が始まり、そろそろ疲れを感じてくる頃ではないでしょうか。これから続く長丁場を乗り切るために、自分にとって合う息抜きの方法を見つけるのも鍵です。上手くリフレッシュしながら良い習慣づけをしていきたいですね!手洗いうがいをはじめ、体調管理は忘れずに!!
頑張れフォレスト生!!

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

(次のフォレストクイズ更新は5/3の予定です。)

出典
iPS細胞について
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html

my iPS細胞プロジェクトについて
https://www.cira-foundation.or.jp/j/about/project/myips/

my iPS細胞プロジェクトに関するニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/70bca2b54a2a4e77fef79e000c8d7185589ef85f

iPS細胞を用いた糖尿病治療に関するニュースhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF142ZG0U5A410C2000000/?msockid=3481fe5aaa536e9133e9edb6ab2b6f60

iPS細胞を用いたパーキンソン病治療に関するニュースhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20250417/k10014781301000.html