フォレストクイズ」カテゴリーアーカイブ

フォレストブログ25⑥

2025年6月20日

第6回目のフォレストブログ25です。今日・6月20日は薬学者・長井長義(ながい・ながよし)の旧暦における生誕日(弘化2年6月20日生まれ、新暦では1845-1929)です。日本初の薬学博士である長井は、漢方の成分などを調べる中で植物の麻黄(まおう)からエフェドリンという成分を発見、これは後に喘息の治療に用いられることとなります。また、数多くの教育機関設立にも携わり、設立に尽力した日本女子大学では多くの女性科学者を育てるなど女子教育でも功績を残しています。

さて、今回のフォレストクイズでは日本における「がん治療」に関する問題を出題します。

Q.2019年に保険診療として開始し、今年3月末で登録患者数が10万件を超えた、がん患者の治療法の検討に用いる、がん細胞におきている遺伝子の変化を調べる検査のことを何という?

 

~答えは下にスクロール~

 

A.がん遺伝子パネル検査

がんは主に何らかの原因で遺伝子に傷が付くことで正しく働かなくなり、「がん細胞」化することで発症します。そうしたがん細胞のゲノム(遺伝情報)を調べ、どの遺伝子に変化が起こっているのか、どのような性質のがんなのか、どのように治療を進めていくかを判断していく医療を「がんゲノム医療」と総称し、現在の保険診療で受けられる「がんゲノム医療」の一つが「がん遺伝子パネル検査」です。「がん遺伝子パネル検査」を保険診療で受けられる病院は「がんゲノム医療中核拠点病院」「がんゲノム医療拠点病院」「がんゲノム医療連携病院」に指定された病院で、その数は2025年4月1日時点で250を超えています。また、「遺伝」に関する情報を患者が理解するための場として「遺伝カウンセリング」の実施も行われています。がん患者の中には生まれ持った遺伝子の特徴によりがんになりやすい体質の人「遺伝性腫瘍」である方もいますが、そうした場合などには家族と一緒に遺伝カウンセリングを受けることも可能となっています。

こうして集められたデータが今年3月末に10万件を超えました。これらのデータは現行のがん診療がどのようなものであるかを映すとともに、データベースとして学術研究や医薬品開発に役立てられています。ただし、現在のがん遺伝子パネル検査にはまだまだ課題が残されています。検査を受けても治療につながる情報が得られないことももちろんありますが、個々の遺伝子異常に対応した薬がない場合や、あっても日本では承認されていない場合などもあり、現状、がん遺伝子パネル検査が治療に直接結びついた例は10~15%ほどとのことです。現在の日本では、海外で用いられる新薬の承認が遅れたり、開発の見込みが立たなかったりする「ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス」という問題があります。こちらについては過去にフォレストクイズで取り上げていますのでそちらもご覧ください。(→フォレストクイズ⑳)これからの日本社会において避けては通れない「がん治療」という問題が、どのように進展していくのか、我々も注視していきたいですね。

さて、来週からは夏期タームが始まります。前期タームの勉強はしっかりと進みましたか?やり残してしまっている部分をしっかり消化して次に進んでいきましょう!暑さ対策も万全に!頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト上山

(次回のフォレストクイズ更新は7/2の予定です。)

出典

国立がん研究センター https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0508/index.html がん遺伝子パネル検査 https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/knowledge/cancer_genomic_medicine/panel_test.html

コトバンク 長井 https://kotobank.jp/word/%E9%95%B7%E4%BA%95%E9%95%B7%E7%BE%A9-107561#goog_rewarded                                 長井の生涯について https://www.chemistry.or.jp/know/doc/isan024_article.pdf

フォレストクイズ25⑤

2025年6月8日

第5回目のフォレストクイズ25です。6月に入り、徐々に蒸し暑さ、ジメジメ感が強まっていく時期となりました。湿度が高いと体力も奪われますし、気持ちも落ち込みがち。気温も上下が激しく、気圧も含めて体調の管理が難しいですね。そんな中でも健康を保ちながら勉強を続けていくため、衛生的な環境の維持は欠かせません。部屋を綺麗に掃除し、手洗いうがいを心掛けて健康を維持していきましょう。スタッフも校舎の清掃を頑張っていきます!

さて、毎年6月は「プライド月間」です。性的マイノリティ(性的少数者)の人々のコミュニティ・文化を祝い、その権利を主張していくための運動で、1969年6月にニューヨークのバーで発生した「ストーンウォールの反乱」という出来事に由来して6月に設定されています。昨日・6月7日と今日・6月8日には東京の代々木公園で「Tokyo Pride 2025」(昨年までは「Tokyo Rainbow Pride」のイベント名で毎年4月に開催)という、性的マイノリティ、ならびに様々な人権に関する課題について考える大規模イベントが行われています。

そこで、今回はそんな「プライド月間」に関連する問題を出題します。

Q.英語で「同盟・仲間」という意味がある、性的マイノリティの人権擁護の立場を取り、その味方として行動する人のことを指す言葉は?

 

~答えは下にスクロール~

 

A.「アライ(Ally)」

一般に性的マイノリティに関する文脈で「アライ」という場合は「自身は性的マジョリティ(性的多数者)である人」のことを指すことが多いです。「ジェンダーアライ」などということもあります。

性的マイノリティと「医療」は切っても切り離せない関係性にあります。歴史を振り返れば「同性愛」はアメリカ精神医学会による診断基準「DSM」に診断名として掲載されたのち、同性愛者解放運動の結果リストから削除された過去があります。日本では同性カップルが婚姻できず法的な家族になれないがために、パートナーの医療に関して意思決定に関われず、入院時のお見舞いにも行けなかったり最期を看取れなかったりすることがあります。また、「トランスジェンダー」と呼ばれる人々が自認する性として生きるにあたり、ホルモン治療や性器の手術などの医療的介入が必要になることも多いです。更には、性的マイノリティは性的マジョリティに比べ、精神的健康に関する問題を抱えやすいのではないかともされています。これらから、医療は性的マイノリティに様々な観点から深くかかわっていることが分かるかと思います。

過去の調査の結果から、日本において性的マイノリティが医療従事者への不信感を抱くような経験をした割合が、性的マジョリティよりも多いことが分かっています。また、性的マイノリティが医療従事者に対し求める要望として「パートナーを家族として認めてほしい」「医療関係者のLGBTQ+への理解向上」「性別欄の必要性を常に考えて欲しい」など様々な意見が上がっています。つまり、性的マイノリティは病院などに行くにあたっても性的マジョリティとは異なった困難が様々にあると言えます。ですから、性的マイノリティについて理解を持った「アライ」の医療関係者が少しでも多くなることが望まれます。

メディカルフォレストでは、次の土曜日・6月14日には前期タームが終了し、6月16日には第2回実力テストがあります。一区切りも目前ですね。体調管理には気を付けて、頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト上山

(次回のフォレストクイズ更新は6/20の予定です。)

出典

プライド月間について https://tokyorainbowpride.org/news/20241128/3483/                        Tokyo Pride 2025 https://pride.tokyo/                              同性愛とDSM https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20160218-OYTET50047/          同性カップルと病院 https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20151008-OYTEW55237/       トランスジェンダーの「治療」 https://www.gid-mcclinic.com/                            性的マイノリティと精神的健康 https://www.gid-mcclinic.com/lgbt-depression/                      性的マイノリティと医療機関 https://www.businessinsider.jp/article/271213/

フォレストクイズ25④

2025年5月27日

第4回目のフォレストクイズ25です。今日・5月27日は生物学者のレイチェル・カーソン(1907-1964)の誕生日です。農薬としての「DDT」などの化学物質使用の危険性を訴え、農業と環境という問題に触れた著書『沈黙の春』はベストセラーになりました。彼女は世界恐慌の影響で大学院での博士号取得を諦めざるをえませんでしたが、優れた文筆の才能と自らの研究分野の知識を発揮し、様々な自然に関する著書を残しています。

さて、今回は医学史に多大な業績がある人物について問題を出題します。

Q.第1回ノーベル生理学・医学賞を受賞したエミール・ベーリングや、ペスト菌の発見などで知られる北里柴三郎など多くの弟子を育てた、炭疽菌、結核菌、コレラ菌の発見などで知られるドイツの医学者は誰?

 

~~~答えは下にスクロール~~~

 

A.,ロベルト・コッホ
ロベルト・コッホは1910年の今日・5月27日に亡くなった、「細菌学の父」とも称される医学者です。なお、「細菌学の父」はルイ・パスツールのことも指すことがあり、パスツールは過去のフォレストクイズにて取り上げていますので是非そちらもご覧ください!(→ フォレストクイズ⑨
コッホの業績のとしては、まずは炭疽菌、結核菌、コレラ菌といった病原体の発見があげられます。特に結核菌の発見、ならびにツベルクリン(当初は結核の特効薬として発表され、後に結核の感染有無を判断するために利用される)の創製など結核に関する研究では1905年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。また、結核菌の発見に先立つ炭疽菌の発見においては、炭疽菌という細菌が病原体であるということを証明し、「ある細菌がある病気の病原体であること」を証明するための諸原則を発表しています。更に細菌の純粋培養法の確立など、細菌学の手法を数々生み出しており、その貢献は図り知れません。
そして、コッホはまた多くの弟子を育てました。先述したベーリングは北里と共に血清療法を確立し、北里は破傷風菌の純粋培養やペスト菌の発見で知られていますが、他にも病気の「化学療法(化学物質により病気の原因となる微生物などの増殖を止め、駆逐することを目的とする)」を考案しています。また、秦佐八郎と共に梅毒の特効薬「サルバルサン」を創製したパウル・エールリヒや、クレープスと共にジフテリア菌を発見すると共に「口蹄疫ウイルス」を発見しウイルス学に貢献したフリードリヒ・レフラー、寒天培地の容器として用いた「シャーレ」の別名に名を残すユリウス・リヒャルト・ペトリなど本当に多くの弟子が活躍しています。後継者の育成という観点でも「細菌学の『父』」といえるかもしれませんね。なお、北里柴三郎もまた過去にこのフォレストクイズにて取り上げていますので是非そちらもご覧ください!(→フォレストクイズ⑭

現代では当たり前のものとして認識されている医学的な見地も、過去の偉人たちが築いた礎の上に成り立っています。フォレスト生の皆さんも未来に向けてバトンを渡す存在となるため、今日も一日はりきっていきましょう!手洗いうがいは忘れずに!頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト上山

(次回のフォレストクイズ更新は6/8の予定です。)

出典

コトバンク コッホ https://kotobank.jp/word/%E3%81%93%E3%81%A4%E3%81%BB-1535191ペトリ皿の考案者・ペトリ https://www.google.co.jp/books/edition/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9VS%E3%83%92%E3%83%88_%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E3%81%AF%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%AA/ApCOEAAAQBAJ?hl=ja&gbpv=1&dq=%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%9B%E3%80%80%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%AA&pg=RA2-PA11&printsec=frontcover

コトバンク カーソンhttps://kotobank.jp/word/%E3%81%8B%E3%83%BC%E3%81%9D%E3%82%93-3148340#w-1521285
カーソンと博士号 https://mainichi.jp/maisho/articles/20240515/kei/00s/00s/005000c

フォレストクイズ25③

2025年5月15日

第3回目のフォレストクイズ25です。今日・5月15日は様々なものの記念日となっていますが、その中でも身近なものに関する記念日というと、「ヨーグルトの日」と「ストッキングの日」でしょうか。それぞれヨーグルトが健康に寄与すると考え研究を行ったイリヤ・メチニコフ(細胞性免疫の研究で先駆者となったことで高名)の誕生日であることと、デュポン社が開発したナイロン(世界初の合成繊維)を用いたストッキングが発売されたに因みます。生物や化学の勉強の息抜きにヨーグルトを食べてみるのはいかがでしょうか?

さて、今日は医学史に関わる一人の女性についてクイズを出題します。

Q.井深八重(いぶか・やえ)が婦長を、レゼー神父が院長を務めた静岡県御殿場市の「神山復生(こうやまふくせい)病院」といえば、かつてどんな病気の療養所として知られた施設?

~~~答えは下にスクロール~~~

A.ハンセン病
今回取り上げるのは、1989年の今日・5月15日に91年の生涯に幕を下ろした井深八重という看護師です。
神山復生病院は1889年開業と日本最古のハンセン病療養施設とされており、現在も病院として続いている施設です。ハンセン病といえば、「らい菌」の感染により発症する病気で、感染時の見た目などに特徴があり、「強い感染力を持つ」というデマと共に強い偏見にさらされたことで知られています。
1919年、ハンセン病にかかった疑いでこの神山復生病院に入院することとなったのが井深八重という女性でした。井深八重は父方の親戚であった名家・井深家(ソニーの創業者である井深大もこの家の出身)に預けられ、現在の同志社女子大学を卒業した後に教師となりますが、皮膚の症状からハンセン病の疑いがあるとして神山復生病院に隔離入院に。どん底にいた井深を救ったのが、当時神山復生病院の院長を務め、献身的に患者を看護していたレゼー神父です。皮膚の症状が快復していく井深を見てレゼー神父が再受診を勧めると、井深はハンセン病ではなかったことが分かりました。そして、井深はレゼー神父とともに神山復生病院で働くことを決意、看護学校を卒業して看護師として病院に戻ってきたのです。それから井深は、厳しい環境に置かれながらもハンセン病患者のために献身を続け、その生涯を同病院での看護に捧げました。1959年にはローマ教皇・ヨハネ23世から聖十字勲章(Pro Ecclesia et Pontifice)を、1961年には国際赤十字からナイチンゲール記章(看護に功労のあった人物に贈られる)を授与されるなど、その活動は世界的にも評価されています。

5月も半ばになりましたが、フォレスト生の皆さんは勉強や生活のリズムを作ることが出来ているでしょうか。皆さんの学習計画が順調に行くように祈っています!頑張れフォレスト生!

 

メディカルフォレスト上山

(次回のフォレストクイズ更新は5/27の予定です。)

出典

井深八重の生涯について① https://ifsa.jp/index.php?Gibukayae
井深八重の生涯について② http://www.jcna.info/nursingandcatholic.html
コトバンク ハンセン病
https://kotobank.jp/word/%E3%81%AF%E3%82%93%E3%81%9B%E3%82%93%E7%97%85-3163832

ヨーグルトの日 https://news.nissyoku.co.jp/today/644702
ストッキングの日 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70978370V10C23A5KNTP00/?msockid=3481fe5aaa536e9133e9edb6ab2b6f60

フォレストクイズ25②

2025年5月3日

第2回目のフォレストクイズ25です。世間はゴールデンウィーク真っただ中ですが、フォレスト生にとっては河合の共通テスト模試が行われることもあり、受験生活の日常の中の一日、という感じかもしれませんね。模試は今の自分を見つめるいい機会。苦手が何かをハッキリさせて、克服に向けて計画を立てていきましょう。

さて、今回のフォレストクイズは現在(2025年5月)流行している病気についての問題です。

Q.乳幼児期に受ける「五種混合ワクチン」により予防できるものの、効果は小学生頃に薄れてしまうため注意が必要である、「長期間にわたり咳が続く」ことから名が付いた病気は何?

~~~答えは下にスクロール~~~

A.百日咳

今年の春、百日咳の流行が続いています。コロナ禍以降は減少していた患者数はコロナ禍前の水準を超えており、ピークが見えていません。また、従来の薬に耐性を持った耐性菌によるものも少なくないため、治療にも困難が生じています。
百日咳は、その名の通り長期にわたり咳が続く病気です。普通の風邪のような病状が見られる「カタル期」の後、咳がひどくなる「痙咳期」がやってきます。この時期には「小さく激しい咳が息継ぎもできないほど短時間に繰り返され、その終わりに息を吸う時にヒューという笛のような音が出る」という症状が繰り返されます。息継ぎが難しいため顔が赤くなり、唇にチアノーゼ(酸欠のため皮膚などが青紫色になる現象)が見られることもあります。やがて咳の頻度は減り「回復期」へと向かっていきますが、回復期が2~3か月程度続くこともあります。
成人にもなれば百日咳は重症化することは少なく、「咳が続く風邪っぽい症状」として見過ごされてしまうこともありますが、乳幼児においては痙咳期に咳の代わりに無呼吸になっていまい、酸欠などを起こして重症化することも少なくありません。よって、乳幼児と接する機会が多い人は更なる注意が必要となります。重症化しやすい乳幼児への感染を防ぐために「五種混合ワクチン」の定期接種が可能となっていますが、このワクチンによる百日咳の予防効果は、小学校の頃には薄くなってしまいます。そのため、小学校就学前や高学年時にワクチンの追加接種も推奨されています。補足ですが「五種混合ワクチン」について解説を加えると、元は「ジフテリア・百日咳・破傷風」の「三種混合ワクチン」、2012年からは「ポリオ」を加えた「四種混合ワクチン」が接種されていましたが、2024年から「Hib(ヒブ、インフルエンザ菌b型)」を加えた「五種混合ワクチン」が定期接種可能となっています。
百日咳は飛沫感染が主な感染経路で、やはり予防として大事なのは「手洗いうがい・手指消毒、マスクの着用」のようです。他の病気の予防とあわせて意識していきたいところですね。

浮かれ気分な街中にあっても、自分のペースを貫いて勉強を続けていく。そんなブレない気持ちを作って、この一年間を駆け抜けていきましょう!頑張れフォレスト生!!

メディカルフォレスト上山

(次回のフォレストクイズ更新は5/15の予定です。)

出典
百日咳感染者拡大について https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250422/k10014785791000.html
百日咳に関する解説 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2d7c3cbb180148fca0d6eb57a568d4954b80c39e
コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E7%99%BE%E6%97%A5%E5%92%B3-120971#w-1199165

フォレストクイズ25①

2025年4月21日

皆さんこんにちは。昨年(2024年)から始まった「フォレストクイズ」は2025年度のフォレストブログでも更新していきます!「フォレストクイズ」とは、ニュースで耳にするホットな科学に関する話題や、更新日に関係する科学史上の出来事などをクイズ形式で取り上げるシリーズ企画です。しばらくはおよそ2週間間隔で更新していきますので、ぜひ楽しみにしてください!
さて、今年度のフォレストクイズのスタートは将来の医学に大きくかかわるであろう話題から。

Q.今月(2025年4月)中にも全自動で製造する施設が稼働する予定である、患者自身の細胞から作られ、拒絶反応なく移植できる「iPS細胞」のことを何という?

~~答えは下にスクロール~~

A.自家iPS細胞(my iPS細胞)

他人の臓器を移植する際、移植された臓器を異物だと認識して排除しようとしてしまう体の反応を「拒絶反応」などと言います。人間の免疫反応として自然なことではあるのですが、これでは臓器移植が失敗してしまいます。
「iPS細胞」は人間の体細胞に少数の遺伝子因子を導入して、ほぼ無限の増殖能力と様々な組織・臓器の細胞に分化する能力を得た「人工多能性幹細胞」のことで、様々な医療技術への応用が期待されていますが、一方で他人の細胞から作られたiPS細胞では変わらず拒絶反応の問題は残されていました。「HLA(ヒト白血球型抗原)型」と呼ばれる血液を持つ人から作られた「拒絶反応が起こりにくいiPS細胞」の研究も進んでいますが、「患者自身の細胞から作られたiPS細胞=自家iPS細胞(my iPS細胞)」の研究が進めば「拒絶反応は起こらないはず」ということでその実用化が期待されています。
これまでiPS細胞は手作業で製造を行っており、その分時間と費用がかかってしまっていました。現状ではある患者からiPS細胞を製造するためには数カ月、数千万円というコストがかかるそうです。この問題を解決すべく2019年に設立されたのが「iPS財団」であり、「my iPS細胞プロジェクト」です。その目的は「年間1000人分の細胞を製造可能で、1人分100万円程度で提供する施設の、2025年3月ごろの実用化」です。そしてその実現のために、全自動での閉鎖型培養装置で細胞を製造する技術を導入してコストを下げることとしました。これらの施設での製造許可が降りれば、今月中にも稼働が開始、早ければ2028年には臨床試験が開始されます。

先日には初めて糖尿病患者にiPS細胞を用いた膵臓組織を移植する手術が日本国内で行われ、その経過は良好と発表されているほか、iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療法に有効性が認められたという治験結果が出るなど、iPS細胞関連のニュースが続いています。iPS細胞が将来の医療を大きく変えることとなるのか。非常に楽しみですね!

さて、新生活が始まり、そろそろ疲れを感じてくる頃ではないでしょうか。これから続く長丁場を乗り切るために、自分にとって合う息抜きの方法を見つけるのも鍵です。上手くリフレッシュしながら良い習慣づけをしていきたいですね!手洗いうがいをはじめ、体調管理は忘れずに!!
頑張れフォレスト生!!

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

(次のフォレストクイズ更新は5/3の予定です。)

出典
iPS細胞について
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html

my iPS細胞プロジェクトについて
https://www.cira-foundation.or.jp/j/about/project/myips/

my iPS細胞プロジェクトに関するニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/70bca2b54a2a4e77fef79e000c8d7185589ef85f

iPS細胞を用いた糖尿病治療に関するニュースhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF142ZG0U5A410C2000000/?msockid=3481fe5aaa536e9133e9edb6ab2b6f60

iPS細胞を用いたパーキンソン病治療に関するニュースhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20250417/k10014781301000.html

フォレストクイズ㉗

2025年1月16日

第27回目のフォレストクイズです。今回でフォレストクイズは一区切りとなりますが、最後までお楽しみください!

今回も引き続き「名言クイズ」をお送りします。今回の記事の更新日である1月16日は、1605年に小説『ドン・キホーテ』が発表された日とされています。作者はスペインのミゲル・デ・セルバンテス。騎士道物語を読んで騎士になったつもりで旅に出る男を描いた小説です。今日は『ドン・キホーテ』の中から名言を出題します。

Q.『ドン・キホーテ』に登場する名言を穴埋めせよ。

「(1)というものは、人をいかなる(2)にあわせても、必ず一方の(3)を開けておいて、そこから救いの手を差しのべてくれるもの」

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.(1)運命、(2)災難、(3)戸口

『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスは、世界史上で有名なレパントの海戦で左手の自由を失い、その後の軍役の最中には船が海賊に襲われて捕虜となるなど、波乱万丈の人生を過ごしました。そんなセルバンテスが残したのが上記の名言です。

そして、もう一つだけセルバンテスが述べたという名言を紹介します。こちらは古代ローマの政治家・キケロも述べたものとされていますが、そんな古い時代から伝わる「真理」のようなものだと思っていただければ幸いです。

「生命のある限り、希望はあるものだ」

こちらについては解説いたしません。皆様の心にお任せいたします。

夢に向かって、頑張れフォレスト生!!

 

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

 

出典

朝日ブック出版ニュース https://www.asahi.com/book/news/TKY200501160115.html?msockid=3481fe5aaa536e9133e9edb6ab2b6f60

コトバンクhttps://kotobank.jp/word/%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%81%B0%E3%82%93%E3%81%A6%E3%81%99-3157291

岩波書店 https://x.com/Iwanamishoten/status/700802641404813314

福島みんなのニュース http://www.fukushima-net.com/sites/meigen/6

ダイヤモンドオンライン https://diamond.jp/articles/-/317830

フォレストクイズ㉖

2025年1月15日

第26回目のフォレストクイズです。今回も引き続き「名言クイズ」をお送りします。今回の記事の更新日である1月15日は「キング牧師」ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(1929-1968)の誕生日です。アメリカにおける公民権運動で人種差別撤廃のための活動の中心となり、“I have a dream.”という言葉で知られたキング牧師ですが、今回はこれとは別の名言を出題します。

Q.“We must accept (1) disappointment, but never lose (2) hope.”

この(1)、(2)の中にそれぞれ入る、反対の意味の形容詞は何と何?

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.(1)finiteと(2)infinite

「我々は有限の失望を受け入れなくてはなりません。しかし、無限の希望を失ってはなりません。」

生きていく上で様々なことに失望する時があります。世の中に対して、誰かに対して、あるいは自分に対して。キング牧師は人種差別に苦しむ人々に対し、それでも希望を失わず、諦めることなく立ち向かい続ける勇気を伝えていきました。「無限の希望」を信じ続けることは簡単なことではありませんが、忘れずにいたいことですね。

頑張れフォレスト生!!

 

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

 

(次のフォレストクイズ更新は1/16更新の予定です。)

出典

トリビューンデイリー https://tribune.net.ph/2025/01/03/youth-hopes-for-the-future

フォレストクイズ㉕

2025年1月13日

第25回目のフォレストクイズです。今回の記事も前回に引き続き「名言クイズ」をお送りします。今回の記事の更新日である1月13日はアイルランドの作家ジェイムズ・ジョイス氏が亡くなった日です。20世紀の文学に多大な影響を与えたとされるジョイスは、代表作『フィネガンズ・ウェイク』が昨年(2024年)8月に邦訳版の復刊、9月に電子書籍化を果たし話題になりました。同作はあまりの難解さから「日本語訳は不可能ではないか」とされていましたが、柳瀬尚紀氏が20年以上かけて邦訳版を完成させ、伝説の作品となっていました。

そんな『フィネガンズ・ウェイク』に並ぶ代表作が『ユリシーズ』です。意識の流れ」と呼ばれる手法を用いて書かれた同作品は20世紀を代表する小説の一つとされています。今回はそんな『ユリシーズ』から名言を出題します。

Q.“A man of genius makes no (), his errors are volitional and are the portals of discovery.”

このカッコの中に入る、mから始まる英単語は何?

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.mistakes

「天才は誤りをしない。その誤りは意志的なものであり、発見の入り口なのだ。」といった意味になります。errorsと同じような意味のmから始まる英単語、と考えればわかりやすいでしょうか。

この言葉は日本語でいうところの「失敗は成功のもと」と近い言葉といえます。誰でも、天才でさえも失敗するが、失敗をそこで終わらせず、次の成功への礎とする。その心がけの重要さは世界共通なのですね。「本番」までもう少し!頑張れフォレスト生!!

 

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

 

(次のフォレストクイズ更新は1/15更新の予定です。)

出典

KAI-YOU https://kai-you.net/article/90627

ダブリン大学 https://www.ucd.ie/newsandopinion/news/2024/october/24/olympicchampiondanielwiffenpresentedwithjamesjoyceaward/

フォレストクイズ㉔

2025年1月11日

フォレストクイズ24 2025/1/11

第24回目のフォレストクイズです。今回から数回は「名言クイズ」回をお送りしていきます。フォレスト生の皆さんを応援するために、更新日に因んだ人物の名言を特集します。今回の記事の更新日である1月11日は漫画『あしたのジョー』の作画などで知られる漫画家・ちばてつやさん(1939-)の誕生日です。『あしたのジョー』は主人公の不良少年・矢吹丈がボクシングの世界で活躍する姿を描いた人気漫画です。今回はちばてつやさんが語った言葉を出題します。

Q.ちばてつやさんは、「人間の強さ」は「何を乗り越えようとすることで、にじみ出てくるもの」とした?

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.「不完全な自分」

ちばてつやさんは、人間は何かしら欠けたところがあることを前提に、そんな不完全な自分を乗り越えようとすることで人間の強さがにじみ出てくるのだと考えているそうです。常に「あした」を目指すということ。『あしたのジョー』もそんなメッセージを織り交ぜた作品になっています。

フォレスト生の皆さんも、きっとそういう日々を過ごしてきたのではないでしょうか。育んできた「強さ」を信じて、頑張れフォレスト生!

 

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

 

(次のフォレストクイズ更新は1/13更新の予定です。)

出典

NHK https://www.nhk.or.jp/school/anipara/detail05_voice01.html