フォレストクイズ」カテゴリーアーカイブ

フォレストクイズ25⑲(2025/10/30)

2025年10月30日

第19回目のフォレストクイズ25です。1938年の今日・10月30日、アメリカでラジオドラマ『宇宙戦争』が放送されました。高名なSF作家であるH・G・ウェルズの作品をオーソン・ウェルズが脚色し、ラジオのニュース番組のような演出で放送した結果、「人々はこれを真実と思いこみパニックになった」というエピソードがよく知られています。この「パニック」については実際に起こったかどうかは怪しいとされており、例えば事実を確認しようと警察やテレビ局に電話が多く寄せられたことは本当のようですが、そこから人々が実際に逃げまどったり、混乱の末に負傷者が出たり、といったことはほとんどなかったとされています(そもそも聴衆率自体もそこまで高いものではなかったとも)。このドラマ自体がフェイクであったばかりか、世に広まった伝説もフェイク、という何とも不思議なこの逸話は、今の我々にとっても重要なテーマと言えそうです。面白いと思うものや、もっともらしいもの、信じたいものを信じてしまいがちなところで、一旦立ち止まって俯瞰で見てみること、信じ込みすぎずに踏みとどまることが、「アテンションエコノミー(情報過多の社会において、人々の注目が経済的価値を持つとされる状況のこと)」の現代社会を生き抜くコツかもしれません。

さて、今回は医学を志す人々にとって重要な人物について出題いたします。

Q.「人類みな兄弟」の言葉でも知られる、赤十字社を設立し、第1回ノーベル平和賞の受賞者ともなった人物は誰?

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A.(ジャン=アンリ・)デュナン

今日・10月30日はデュナン(1828-1910)の命日です。元は銀行員であるデュナンは赴任先のアフリカの人々の暮らしを救うべく事業を行うためにナポレオン3世に交渉しようとした際、イタリア統一戦争の戦地・ソルフェリーノの凄惨なさまを目撃し、戦争下における中立的な救護組織が必要であることを訴えました。1864年、ジュネーヴ条約により国際赤十字が発足します。そして1901年に第1回ノーベル平和賞を受賞……、と書くと話は簡単ですが、実はその間にデュナンは苦難を経験します。デュナンの事業は結局上手くいかず、経済的に困窮することとなり、浮浪者同然の生活を送ることとなります。彼の功績が再び知られるようになったのは1895年のこと、スイスの新聞記者が彼の元を尋ね、記事として大々的に紹介したことがきっかけでした。デュナンはその間実に30年近い雌伏の時間を過ごしたことになります。それでもデュナンはノーベル平和賞の賞金を慈善事業に寄付したといいます。博愛を貫いた生涯、といえるでしょう。

体調管理にはくれぐれも気を付けていきましょう。一番最初に自分の身を守れるのは自分自身です。手洗いうがい、換気だけでも丁寧に!頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト 上山

 

出典

コトバンク デュナンhttps://kotobank.jp/word/%E3%81%A7%E3%82%86%E3%81%AA%E3%82%93-3160474#w-2058035
デュナンの生涯 日本赤十字 https://www.jrc.or.jp/chapter/ehime/pdf/c2c1503b063227a88bb14c3aa86a4c84b3a05d7e.pdf
https://www.jrc.ac.jp/application/files/9517/1083/1723/henrydunant202403.pdf

 

ナショナルジオグラフィック 宇宙戦争 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8501/

フォレストクイズ25⑱(2025/10/24)

2025年10月24日

第18回目のフォレストクイズ25です。今日・10月24日は「世界ポリオデー」です。ポリオはポリオウイルスにより脊髄神経の灰白質が侵され、夏かぜのような症状の後に麻痺が見られる病気で、治療後に麻痺が残ることも珍しくありません。1988年にWHOによる宣言で撲滅が目指されて以降、99.9%ほどまで発症件数は減少しており、撲滅までもう少しのところまで来ています。1980年に撲滅された天然痘以来、2例目となる人類が撲滅した感染症となるのはいつになるでしょうか?なお、ポリオに関しては以前のフォレストクイズで取り上げた部分もありますので、そちらも是非ご覧ください。(→フォレストクイズ25⑭(2025/9/24)

さて、今回は科学史に影響を与えた人物について出題します。

Q.本職の一つである織物商で生地の鑑定のために虫眼鏡をよく用いていた、この経験を活かして単眼式の顕微鏡を自作して微生物などの観察を行い「微生物学」の基礎を築いた17世紀頃の人物は誰?

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A.(アントニ・ファン・)レーウェンフック

今日はレーウェンフック(1632-1723)の生誕日。「微生物学の父」と称されることもあるレーウェンフックは、大学などに属さない「アマチュア学者」でした。本職は織物商や地元の役人などで、問題文にもあるようにレンズを扱った経験を元に、レンズを一つだけ用いる単眼式の顕微鏡を自作して、様々な物を観察してスケッチし楽しんでいたそうです。中でも最も倍率が高かったのは300倍にも達するものもあったとか。そうした観察の中から「細菌の発見」「動物の精子の発見」「魚の赤血球の核の発見」など様々なミクロな世界の発見を重ね、これらのレポートをロンドン王立協会に送ったことで成果が認められることとなりました。微生物に関する研究の発端には、純粋な好奇心があったというのはなんだかワクワクさせられる話です。

さて、皆さんは大学でどのようなことを学んでいくつもりでしょうか?単純に仕事に繋がるから勉強をするというだけでなく、皆さんが各々に持つ興味・好奇心を満たすような学問が大学にはあるはずです。自分が何に興味があるのか、心の機微がどのような物に対して反応するのか、そういったことを感じ取れると大学生活はより特別な時間になるでしょう。時には大学入学後の自分を想像してみてはいかがでしょうか。頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト 上山

 

出典

コトバンク https://kotobank.jp/word/%E3%82%8C%E3%83%BC%E3%81%86%E3%81%88%E3%82%93%E3%81%B5%E3%81%A4%E3%81%8F-3176135#w-2152803

織物商の経験について 科学新聞 https://sci-news.co.jp/column/7831/

世界ポリオデー https://www.endpolio.org/ja/shi-jie-poriode

フォレストクイズ25⑰(2025/10/18)

2025年10月18日

第17回目のフォレストクイズ25です。今日・10月18日は「世界メノポーズデー」です。「メノポーズ(menopause)とは「閉経」を意味する言葉で、国際閉経学会により「更年期」に関する情報・知識を広める日として10月18日が選ばれました。また、昨日・10月17日から10月23日までの一週間は「薬と健康の週間」とされています。これは日本の薬の神様である薬祖神をまつる「薬祖神祭の日」が10月17日であることに由来し、医薬品の正しい服用や薬剤師の役割について知識を広める週となっています。いずれも我々の生活に密接にかかわる健康問題についての取り組みです。知識を深めるとともに、人々にも伝えられるようになると良いですね!

さて、本日は大変おめでたいニュースに関連する内容をクイズとしてご紹介します。少し遅れての紹介となりますが、とっっっっても大事なニュースですので、是非ご確認を!

Q.「潰瘍性大腸炎」のように一部の器官に影響を及ぼすものと、「全身性エリテマトーデス」のように体全体に影響を及ぼすものがある、自分自身の細胞を異物と認識してしまい、抗体が攻撃を続けてしまう病気のことを何という?

 

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A.自己免疫疾患

先日(2025年10月6日)、京都大名誉教授で大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任教授である坂口志文(さかぐち・しもん)氏らがノーベル生理学・医学賞を受賞しました。その研究内容は「免疫システムが自己の細胞を攻撃するのを防ぐ仕組みの解明」です。坂口さんは自己細胞を攻撃しない仕組みの一端を担う「制御性T細胞(Treg)」と呼ばれる細胞を発見し、これについての研究を行っています。この研究は、問題でも取り上げた自己免疫疾患や臓器移植、アレルギー反応などの研究に応用されいます。これに関連して、iPS細胞については過去にフォレストブログで取り上げているのでこちらも是非ご覧ください!(→フォレストクイズ25①(2025/4/21)

また今年はノーベル化学賞においても、「多孔性金属錯体/有機金属構造体(MOF)」の研究者である京都大学特別教授の北川進(きたがわ・すすむ)氏らが受賞を果たしています。多孔性金属錯体は金属イオンを有機配位子により架橋結合(文字通り橋を架けたような結合)した物質で、ナノサイズの非常に小さな孔(穴)を多く持っています。その孔には気体分子を出し入れすることができ、金属や配位子の種類などにより孔のサイズを変えることで取り込む気体の種類を変えることができます。この技術は既に危険なガスを安全に運ぶ技術などとして活用されており、今後も様々な技術に応用できると考えられています。

 

今後医学部の受験をしていく上で、時事的な知識は二次の面接などで重要になってきます。勉強勉強で忙しい毎日かと思いますが、少しだけニュースにも目を向けて、知識のアンテナを張っていてほしいところです。フォレストクイズがその手助けになればと思います。

そろそろ外の空気が乾燥してくる頃です。この時期の体調不良は肉体的にも精神的にもつらいものですが、フォレストでも少しずつ体調不良が出つつあります。手洗いうがいと部屋の換気は大切にしていきましょう!勉強も健康もできることを実直に!頑張れフォレスト生!!

メディカルフォレスト 上山

 

出典

生理学医学賞 ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/a441a4f6e3d0eaf4141da15d324a0d4582a95500
化学賞 ニュース
https://mainichi.jp/articles/20251008/k00/00m/040/318000c

「世界メノポーズデー」 日本女性医学学会 https://www.jmwh.jp/n-wmd.html
「薬と健康の週間」 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kusurikenko_r7_00001.html

フォレストクイズ25⑯(2025/10/12)

2025年10月12日

第16回目のフォレストクイズ25です。1928年の今日・10月12日、ボストンで「鉄の肺(Iron Lung)」が初めて使用されました。「鉄の肺」とは、自発的な呼吸が困難になった人に対し、首から下をすっぽりと覆って気圧の変化により肺を膨らませたりしぼませたりして呼吸をさせるタンクのような呼吸装置です。ポリオなどの病気で呼吸が困難になった人に対し使われ、いわゆる「人工呼吸器」が開発されるまで多く利用されていました。ポール・アレキサンダーという人は、6歳の時にポリオにかかって「鉄の肺」を使用することとなり、2024年に78歳で亡くなるまでその生涯を「鉄の肺」と共に過ごしたことでギネスにも認定された人物です。アレキサンダー氏はリハビリにより一定時間であれば「鉄の肺」無しに自力呼吸を行うこともできるようになりましたが、それでも外出先に車輪付きの「鉄の肺」を持ち運ぶなど、「鉄の肺」は無くてはならないものでした。そうした状況でもアレキサンダー氏は勉学に励み、弁護士資格を取得することに成功します。実際に弁護を行う際には車いすと助手の力を借りて法廷に立ちました。晩年にはSNSを更新し自らの人生を語り伝えていきました。

さて、今回はある日本人医学者について出題します。

Q.免疫抗体の多様性は、遺伝子が自らのDNA配列を再構成する機能を持つことによることを発見し、1987年のノーベル生理学医学賞を受賞した日本人医学者は誰?

 

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A.利根川進(とねがわ・すすむ)

1987年の今日・10月12日、ノーベル生理学・医学賞受賞者に日本の利根川進氏が選ばれました。利根川氏の発見は、「DNAは不変である」という常識を覆すものです。免疫作用における抗体は100億種類以上あると考えられていたものの、その多様性のメカニズムは分かっていませんでした。利根川氏は実験により、抗体が対応する異物に応じてDNA配列を再構成し、自ら変化していることを明らかにしました。

そんな業績を持つ利根川氏ですが、実は京都大学に入学する以前に一浪し、予備校生活を経験しています。このことについて、「大学受験を失敗をマイナスとしてではなく、プラスとしてとらえ、その後の人生の歩みに活かしていくことが大事」と利根川氏は語ったそうです。

さて、今年(2025年)もノーベル賞の発表の時期になりました。10月6日の生理学・医学賞の発表を皮切りに受賞者が発表されています。最新の科学ニュースを知ることは二次対策などをふまえても大事なことです。ということで、次回のフォレストクイズでは今年のノーベル賞について取り上げる予定です。勉強もニュースもしっかり追いかけましょう!手洗いうがいも忘れずに!頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト 上山

 

出典

コトバンク 利根川進 https://kotobank.jp/word/%E5%88%A9%E6%A0%B9%E5%B7%9D%E9%80%B2-166050

ノーベル賞日付 https://www.jiji.com/jc/d4?p=nbj001-jlp00889825&d=d4_topics

利根川進氏の浪人生活について https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwjwkbDIwqCPAxWJma8BHavOHik4ChAWegQIJxAB&url=https%3A%2F%2Fnagoya.repo.nii.ac.jp%2Frecord%2F16210%2Ffiles%2F510.pdf&usg=AOvVaw03VvX-l-Iv9e-xkPhapUas&opi=89978449

鉄の肺について https://gendai.media/articles/-/67592

アレキサンダー氏 https://www.asahi.com/articles/ASS3G6T22S3GUHBI033.html?msockid=3481fe5aaa536e9133e9edb6ab2b6f60

フォレストクイズ25⑮(2025/10/6)

2025年10月6日

第15回目のフォレストクイズ25です。今日からフォレストブログは毎日更新!受験に向けて頑張るフォレスト生と共に、スタッフも駆け抜けていきます!

1969年の今日・10月6日、千葉県松戸市に「すぐやる課」が設置されました。ドラッグストア「マツモトキヨシ」の創業者である松本清市長が、縦割り状態の行政を改革すべく、市民の要望、要求にすぐに答えるためのアイディアとして設置した部門である「すぐやる課」は、市民からの好評を呼び、他自治体にも広がっていきました。松本の直筆による「すぐやらなければならないもので すぐやり得ることは すぐやります」という標語は実に明快なものです。慎重に検討しなければならないことも勿論たくさんありますが、やるべきことは重い腰を上げて「すぐやる」!大事な意識です!

さて、今回は日本でも研究が進む新技術について出題します。

Q.今年(2025年)7月には主要なパーツやシステムを全て日本製とした「国産品」が大阪大学で稼働を開始した、これまでのコンピューターと異なる動作原理によって超高速な計算を実行できるとされるコンピューターは「何コンピューター」?

 

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A.量子コンピューター

 

 

電子や光子といった、微小な粒子や物理現象について研究する物理学の分野を「量子力学」と言いますが、この量子力学の原理を計算に応用したものが「量子コンピューター」です。従来のコンピューターは基本的に2進数を用いて、「電気信号的にオフである『0』」と「オンである『1』」をスイッチのように組み合わせることで計算を行っていました。しかし、量子の世界においては「0と1の『どちらでもある』ような状態」が存在しえます。このような状態を「重ね合わせ状態」といいますが、この不思議な性質を利用することで、化学反応のシミュレーションや暗号解読といった様々な複雑な問題を、これまでのコンピューターよりも遥かに速く解くことができるとされるのが量子コンピューターです。この量子コンピューターを実用化すべく、日本も研究を重ねています。今年(2025年)4月には富士通と理化学研究所の共同研究により、「256量子ビット(量子ビットは量子コンピューターにおける情報の基本単位)」を備えた世界最大級のマシンの開発に成功したことが発表されました。また、今年7月には大阪大学らの研究により、主要部品を日本製とした初の“純国産”量子コンピューターが稼働を開始しました。ちなみに現在開催中の大阪万博では、クラウドを経由してこの大阪大学の量子コンピューターを実際に操作できる企画展も行われました。今はまだ実用レベルに至っておらず、一般社会とは縁遠い量子コンピューターですが、我々の日常を大きく変える日も近いかもしれません。

ブログの毎日更新に向け、スタッフも惜しみなく持てる知識を活かして記事をお届けしていきます。頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト 上山

出典

量子コンピューターについて https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sp/contents/voice/20220311_quantum-computer.html

大阪大学 https://www.asahi.com/articles/AST810290T81UTFL007M.html

富士通 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2505/20/news001.html

大阪万博 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG183450Y5A810C2000000/

すぐやる課 https://www.city.matsudo.chiba.jp/kurashi/suguyaru/suguyaru_tanjou.html

フォレストクイズ25⑭(2025/9/24)

2025年9月24日

第14回目のフォレストクイズ25です。今日・9月24日は「清掃の日」。「廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)」が制定されたことに因む記念日です。皆さんの生活環境はいかがでしょうか?余裕がなくなってくると部屋の掃除も行き届かなくなっていくものです。生活環境の悪化は健康の悪化を招きます。今の内に部屋をしっかりを清掃して、万全の体制でこれからの受験生活を乗り切れるようにしていきましょう!もちろん、校舎の使い方も清潔にお願いします!

さて、今回はある病気に関する問題です。

Q.ズバリ、「複十字(赤色の‡マーク)」といえば、どんな病気の撲滅・予防運動に用いるマーク?

 

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A.結核

毎年9月24日から9月30日は厚生労働省が定める「結核・呼吸器感染症予防週間」です。「複十字」は元々キリスト教の一派が用いていたマークで、第1回十字軍の指揮官が紋章にしたことから平和と希望のシンボルとされていました。1902年、世界中で死因の上位に入っていた結核を撲滅・予防するべく、複十字は結核撲滅・予防のシンボルとして採用されました。デンマークでは郵便局員さんが結核の予防に役立てるためにシールを販売するようになり、こうしたシールを用いた運動は世界中に広まりました。日本では「複十字シール」と呼ばれるシールを用いた募金運動が行われるようになっており、「結核・呼吸器感染症予防週間」で行われる募金活動の募金は、結核をはじめとする呼吸器の病気に関する支援に活用されています。ちなみに今年・2025年のシールのデザインは日本の昔話を題材にしたものになっています。なお、以前には結核に関連して、小説『風立ちぬ』についてフォレストクイズで取り上げたことがあります。よろしければそちらもご覧ください!(→フォレストクイズ㉒

淀んだ空気は呼吸器にも悪いです。湿気の多い時期はまだまだ続きますから、しっかりと部屋を清潔に保って、良い空気で勉強しましょう!手洗いうがいも忘れずに!頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト 上山

出典

結核・呼吸器感染症予防週間 https://www.jatahq.org/headquarters/campaign/

複十字シール運動 https://www.jatahq.org/headquarters/seal/seal/

清掃の日 https://prtimes.jp/magazine/today/cleaning_day/

 

フォレストクイズ25⑬(2025/9/12)

2025年9月12日

第13回目のフォレストクイズ25です。第4回実力テストが来週に迫ってきていますね。校内のテストはもちろん、「本番」のテストも多くは朝から行われるものです。朝から頭をフル回転させるためにどんなことをするのが自分にとって良いかを模索していきましょう。さて、今日・9月12日は語呂合わせから「クイズの日」です。これは比較的最近できた記念日で、元々はトンチの「一休」さんに因んで「1月9日」が「クイズの日」でした。なんにせよ、「クイズの日」にフォレストクイズを更新することができて嬉しい限りです。

そこで今回は、9月12日に因む問題を3問出題します。いずれもこの日に因む科学者についてです!

 

Q1.「一、未だやられていない事でなければならない 一、他処より早く発表しなくてはならない 一、他人がやり直しをせねばならない様ではならない」という三原則を掲げていた、半導体に関する様々な功績で知られる日本の科学者は誰?

Q2.日本で開発された小麦「農林10号」を品種改良し、その収穫量を大幅に増やすことに成功した、20世紀半ばの「緑の革命」の立役者であるアメリカの農業学者は誰?

Q3.散歩の信号待ち中に「中性子による核連鎖反応」を思いついたエピソードでも知られる、「原子爆弾についての研究をドイツより先んじて行うべきである」という内容の手紙をアインシュタインと共にルーズヴェルト大統領に送ったハンガリー生まれの科学者は誰?

 

~~答えは下にスクロール~~

 

A1.西澤潤一(にしざわ・じゅんいち)

西澤潤一(1926-2018)は今日・9月12日生まれ。「ミスター半導体」の異名を持ち、私たちの生活に近いところでいえば「光通信」に必要な「発光素子(半導体レーザー)」「伝送路(光ファイバー)」「受光素子(pinダイオード)」を発明しています。そんな西澤の研究の精神は「独創」。自身が半導体に関する新説を数多く打ち出したように、誰も考えたことのない新たなる技術・発想への探求を重要視していました。現在ではその栄誉を称え、アメリカ電気電子学会・IEEEにて「Jun-ichi Nishizawa Medal」という材料科学に関する賞が設立されています。

A2.(ノーマン・)ボーローグ

ノーマン・ボーローグ(1914-2009)は今日・9月12日が命日。20世紀なかばに起こった「緑の革命」において中心的役割を担い、1970年のノーベル平和賞を受賞した人物です。「緑の革命」とは、農作物に関する技術革新により、発展途上国の食糧生産能力が大幅に増加したことを指します。ボーローグは日本の小麦「農林10号」を用いて、丈夫で多産な小麦を作ることに成功し、メキシコでは小麦収穫量が約3倍となるなど、品種改良による農作物の収穫量増加に貢献しました。

A3.(レオ・)シラードorシラールド(・レオー)

レオ・シラード(マジャール人の名前表記からシラールド・レオーとも、1898-1964)はハンガリー生まれの科学者です。多くの分野で活躍をしたことで知られていますが、今回取り上げるのは核・原子力に関する研究です。1933年の今日・9月12日、核や原子力について考えながら散歩していたシラードは、信号待ち中に「中性子を原子核に衝突させることで連鎖的に核分裂反応を起こすことができる」というアイディアを思いつき、この研究を進めていきました。シラードはユダヤ系だったため、ヒトラーが政権を取ったドイツを離れてアメリカに移った科学者の一人でした。ドイツが先に原子力を軍事利用することを危惧したシラードは、同じくユダヤ系だったアインシュタインと共に大統領宛ての手紙を書き、先んじて研究すべきであると主張しました。実際に研究が進むのはそれからしばらく後のことでしたが、のちの「原爆」開発の一つの契機となったのは間違いないでしょう。

 

さて、今回は何問分かったでしょうか。クイズの日は終わっても、まだまだフォレストクイズ25は続けてまいりますので、是非お楽しみください!
感染症の流行気配もありますから、体調管理にはくれぐれもご注意を。手洗いうがいはご丁寧に!頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト上山

出典

コトバンク 西澤潤一 https://kotobank.jp/word/%E8%A5%BF%E6%BE%A4%E6%BD%A4%E4%B8%80-164318#goog_rewarded

西澤の「三原則」についてhttps://www.museum.tohoku.ac.jp/center/pdf/sobe_section1.pdf

コトバンク ボーローグ https://kotobank.jp/word/%E3%81%BC%E3%83%BC%E3%82%8D%E3%83%BC%E3%81%90-3170550#goog_rewarded

農林10号について https://www.naro.go.jp/introduction/NARO130th/topics/naro09.html

コトバンク シラード https://kotobank.jp/word/%E3%81%97%E3%82%89%E3%83%BC%E3%81%A9-296495

信号待ちのエピソードについて https://www.ans.org/news/article-1424/anniversary-80-years-ago-leo-szliard-envisioned-neutron-chain-reaction/

フォレストクイズ25⑫(2025/8/31)

2025年8月31日

第12回目のフォレストクイズです。今年(2025年)は今日・8月31日が雑節の「二百十日」にあたります。立春から数えて210日になる日、という意味で、稲の開花の時期であると同時に台風がよく来る時期とされて農家を悩ませてきた日です。夏目漱石の小説にも『二百十日』という作品があります。明日からは9月。後期タームも始まり、徐々に緊張感が高まってくることでしょう。知識をインプットするだけではなく、いかにアウトプットの精度を高めて本番に力を発揮するか、ということも意識していく必要があります。

さて今回は最近、社会問題となっているものについて出題します。

Q.使用者は筋肉が弛緩して「ゾンビ」のような姿を見せることがある、欧米で流行し「史上最悪の麻薬」とさえ称されるドラッグは何?

~~~答えは下にスクロール~~~

A.フェンタニル

「フェンタニル」は合成オピオイド(ケシから取れる成分による化合物)の一種で、モルヒネの100倍もの効力を持つとされる強力なものです。麻酔の他にもガン患者や術後患者における疼痛の鎮静などに用いられるなど医療用としては大変重宝されてきたものなのですが、比較的容易かつ安価に製造できるため、密造品がドラッグとして欧米で大流行しています。わずかな使用量でも致死量に達してしまう強さがあり、「史上最悪のドラッグ」とさえ呼ばれることがあります。使用者は筋肉が弛緩して、上半身をくの字に屈めたり腕を伸ばしたりして、まるで「ゾンビ」のような姿を見せることが知られており、流行した街は「ゾンビ映画」を思わせるような異様な光景を見せます。日本は欧米ほどではないものの、少しずつ摘発の例が増えており予断を許さない状況です。そんな中、京都大学はノルアドレナリンの分泌量を増やすことで鎮痛作用を発揮する薬「アドリアーナ」を開発し、オピオイド系の薬の代替を目指して治験を始めると発表しました。依存性の低い新たな麻酔薬が実用化されるかに注目が集まります。

そろそろ精神的にも余裕が持てなくなってくる時期かもしれませんが、時には深呼吸をして、うまく一息ついて日々を過ごしていきましょう。そうした少しの余裕が自分のパフォーマンスの維持に繋がっていくはずです。頑張れフォレスト生!

メディカルフォレスト 上山

出典
ニュース記事1 https://www.sankei.com/article/20250726-X6U7VJVZ6RIIXMGJKL3Q4P5NHY/
ニュース記事2 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/900168681.html?display=full

オピオイド代替麻酔薬 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF013YT0R00C25A8000000/

国立天文台 https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/phenomena_s.cgi

フォレストクイズ25⑪(2025/8/19)

2025年8月19日

第11回目のフォレストクイズ25です。今日・8月19日は「世界人権デー」。2003年のこの日にイラク・バグダッドの国連事務所本部が爆撃され、多くの死傷者が出る事件があったことが由来となっています。今現在も多くの方が人道支援に携わり、その中には医療従事者も勿論います。医師の職務、責務とは何か、ということはフォレスト生の皆さんが考えなければならないことでしょう。

さて、今回は8/19に関する人物を3人取り上げます。何問分かるかトライしてみてくださいね。

Q1.トリチェリによる大気圧と真空に関する実験の追試に成功し、この実験についてまとめた論文の中で「密閉した容器内で静止している流体の一点に圧力を加えると、流体内の全ての点で同じだけ圧力が増加する」という流体力学の基礎となる原理を発表した17世紀の人物は?

Q2.量子力学に基づくα崩壊の説明や宇宙誕生におけるビッグバン理論の提唱など様々な分野で実績を残した科学者で、相対性理論を分かりやすく説いた科学読本『不思議の国のトムキンス』でも知られるのは誰?

Q3.反戦活動家として1963年にはノーベル平和賞も受賞している、化学結合についての研究により1954年にノーベル化学賞を受賞した科学者は誰?

~~~答えは下にスクロール~~~

A1.(ブレーズ・)パスカル
パスカルは1662年の今日・8月19日が命日です。問題文にも登場した「パスカルの原理」や数学における「パスカルの三角形」「パスカルの定理」などに名を残すとともに、死後に刊行された『パンセ』で哲学・思想のジャンルでもその名が知られるなど、万能の天才でありました。同書にある「人間は考える葦である」というフレーズはあまりに有名です。

A2.(ジョージ・)ガモフ
ガモフは1968年の今日・8月19日が命日です。問題文に挙げた功績の他にも、DNAの二重螺旋構造の発見を受けて、「4種類の塩基が3文字用いられたコード」、すなわち現在の「コドン」の存在を最初に仮定した人物でもあります。
『不思議の国のトムキンス』は、主人公が様々な不思議な世界で、相対性理論などに基づく現象を体験するというあらすじのお話です。ガモフはこうした著作を通じて、多くの科学的知識を人々に分かりやすく伝えた科学者の一人でした。

A3.(ライナス・)ポーリング
ポーリングは1994年の今日・8月19日が命日です。ポーリングは構造化学(分子や化合物の配置、結合などを対象とする化学)の分野で活躍し、その過程で「混成軌道」や「電気陰性度」といった概念を考案しています。またDNAの二重螺旋構造の発見の前に「三重螺旋構造」の可能性を研究するなど、生化学や医学の分野にも活動範囲を広げます。更には科学者として原水爆の反対を示すなど平和活動家としても知られ、ノーベル化学賞とノーベル平和賞という全く異なるジャンルのノーベル賞を受賞した希有な人物でもありました。

皆さんは何問正解できましたか?今回出題した人物は幅広く知識を持ち、様々な分野で活躍した科学人ばかりでした。皆さんは自分の知識をどのように活かしていきますか?未来に向かって頑張れフォレスト生!!

メディカルフォレスト 上山

出典

パスカルの実験 https://kotobank.jp/word/%E3%81%B1%E3%81%99%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%81%AE%E5%AE%9F%E9%A8%93-1580634
ガモフ https://kotobank.jp/word/%E3%81%8C%E3%82%82%E3%81%B5-3148564#w-46940
不思議の国のトムキンス https://www.hakuyo-sha.co.jp/physics/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%A0%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%80%80%E3%80%88%E5%BE%A9%E5%88%BB%E7%89%88%E3%80%89/
ポーリング https://kotobank.jp/word/%E3%81%BD%E3%83%BC%E3%82%8A%E3%82%93%E3%81%90-3170876#w-1594477

世界人権デー https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ha_er/page23_001558.html

フォレストクイズ25⑩(2025/8/7)

2025年8月7日

第10回目のフォレストクイズ25です。今日・8/7は暦の上では「立秋」、秋の始まりの日ですが、まあそんなことを言いましてもこの気候では……。フォレスト生の中には帰省する人も少なくないとは思いますが、もはやどこにいても酷暑は避けられない時代。とにかく栄養をつけて、涼しい部屋に極力居るようにして、この夏を乗りきっていきましょう。

さて、今回は日本の医療保険制度改革に関する問題を出題します。

Q.医療保険制度改革により「保険適用外」とする議論が行われている、医療用医薬品として処方される医薬品のうち、OTC医薬品と同じ有効成分・効能を持つものを何という?

~~~答えは下にスクロール~~~

A.OTC類似薬
「OTC医薬品」といえば「Over The Counter」の略で、薬局、ドラッグストア、コンビニなどで医師の処方箋無しに購入できる医薬品のことですが、こうしたOTC医薬品と同じ有効成分が入っており、同じ効能を持つ医療用医薬品のことを、一般に「OTC類似薬」と呼びます。
昨今の日本の医療費の増大を受けて医療保険制度改革の必要性が議論される中で、比較的軽度な症状に対して処方されることが多いOTC類似薬を保険適用外に変更しようという動きも見られます。いわゆるセルフメディケーション(軽微な症状であれば医師の診断を受けずに患者の自己判断でOTC医薬品などの市販薬を購入すること)の推進により、税制上の優遇措置もありますが、いくら優遇措置があったとしても、保険適用外になることで増える経済的な負担は賄いきれません。とすれば患者、とりわけ慢性的な症状を持つ患者にとっては負担増となりますし、そうなれば受診控えや不適切な医薬品の使用(医薬品の使用を過度を控えようとするなど)にも繋がり、健康面における更なる不安要素となりかねません。また、医師の診断を経ずに自己判断で医薬品を使用することにより、診断を受けていれば軽度な症状で済んでいたところが、誤った判断により重篤な症状になってしまう可能性もあります。こうした指摘からOTC類似薬の保険適用外しには異を唱える人も少なくありません。今後どのような議論がなされるか、注目していきたいですね。

受験生にとって体調管理は難しい課題です。自分の身体とよく向き合って、病気にならないよう努めていきましょう!頑張れフォレスト生!!

メディカルフォレスト 上山

出典
日本医師会 https://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&rct=j&opi=89978449&url=https://www.med.or.jp/nichiionline/article/012078.html&ved=2ahUKEwixvPmSmt-OAxXor1YBHZwXCfAQFnoECCMQAQ&usg=AOvVaw1h02lTn-VRFTwW7-JClArG

立秋 二十四節気 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2025/rekiyou252.html