第4回目のフォレストクイズ25です。今日・5月27日は生物学者のレイチェル・カーソン(1907-1964)の誕生日です。農薬としての「DDT」などの化学物質使用の危険性を訴え、農業と環境という問題に触れた著書『沈黙の春』はベストセラーになりました。彼女は世界恐慌の影響で大学院での博士号取得を諦めざるをえませんでしたが、優れた文筆の才能と自らの研究分野の知識を発揮し、様々な自然に関する著書を残しています。
さて、今回は医学史に多大な業績がある人物について問題を出題します。
Q.第1回ノーベル生理学・医学賞を受賞したエミール・ベーリングや、ペスト菌の発見などで知られる北里柴三郎など多くの弟子を育てた、炭疽菌、結核菌、コレラ菌の発見などで知られるドイツの医学者は誰?
~~~答えは下にスクロール~~~
A.,ロベルト・コッホ
ロベルト・コッホは1910年の今日・5月27日に亡くなった、「細菌学の父」とも称される医学者です。なお、「細菌学の父」はルイ・パスツールのことも指すことがあり、パスツールは過去のフォレストクイズにて取り上げていますので是非そちらもご覧ください!(→ フォレストクイズ⑨)
コッホの業績のとしては、まずは炭疽菌、結核菌、コレラ菌といった病原体の発見があげられます。特に結核菌の発見、ならびにツベルクリン(当初は結核の特効薬として発表され、後に結核の感染有無を判断するために利用される)の創製など結核に関する研究では1905年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。また、結核菌の発見に先立つ炭疽菌の発見においては、炭疽菌という細菌が病原体であるということを証明し、「ある細菌がある病気の病原体であること」を証明するための諸原則を発表しています。更に細菌の純粋培養法の確立など、細菌学の手法を数々生み出しており、その貢献は図り知れません。
そして、コッホはまた多くの弟子を育てました。先述したベーリングは北里と共に血清療法を確立し、北里は破傷風菌の純粋培養やペスト菌の発見で知られていますが、他にも病気の「化学療法(化学物質により病気の原因となる微生物などの増殖を止め、駆逐することを目的とする)」を考案しています。また、秦佐八郎と共に梅毒の特効薬「サルバルサン」を創製したパウル・エールリヒや、クレープスと共にジフテリア菌を発見すると共に「口蹄疫ウイルス」を発見しウイルス学に貢献したフリードリヒ・レフラー、寒天培地の容器として用いた「シャーレ」の別名に名を残すユリウス・リヒャルト・ペトリなど本当に多くの弟子が活躍しています。後継者の育成という観点でも「細菌学の『父』」といえるかもしれませんね。なお、北里柴三郎もまた過去にこのフォレストクイズにて取り上げていますので是非そちらもご覧ください!(→フォレストクイズ⑭)
現代では当たり前のものとして認識されている医学的な見地も、過去の偉人たちが築いた礎の上に成り立っています。フォレスト生の皆さんも未来に向けてバトンを渡す存在となるため、今日も一日はりきっていきましょう!手洗いうがいは忘れずに!頑張れフォレスト生!
メディカルフォレスト上山
(次回のフォレストクイズ更新は6/8の予定です。)
出典
コトバンク コッホ https://kotobank.jp/word/%E3%81%93%E3%81%A4%E3%81%BB-1535191ペトリ皿の考案者・ペトリ https://www.google.co.jp/books/edition/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9VS%E3%83%92%E3%83%88_%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E3%81%AF%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%AA/ApCOEAAAQBAJ?hl=ja&gbpv=1&dq=%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%9B%E3%80%80%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%AA&pg=RA2-PA11&printsec=frontcover
コトバンク カーソンhttps://kotobank.jp/word/%E3%81%8B%E3%83%BC%E3%81%9D%E3%82%93-3148340#w-1521285
カーソンと博士号 https://mainichi.jp/maisho/articles/20240515/kei/00s/00s/005000c