第16回目のフォレストクイズ25です。1928年の今日・10月12日、ボストンで「鉄の肺(Iron Lung)」が初めて使用されました。「鉄の肺」とは、自発的な呼吸が困難になった人に対し、首から下をすっぽりと覆って気圧の変化により肺を膨らませたりしぼませたりして呼吸をさせるタンクのような呼吸装置です。ポリオなどの病気で呼吸が困難になった人に対し使われ、いわゆる「人工呼吸器」が開発されるまで多く利用されていました。ポール・アレキサンダーという人は、6歳の時にポリオにかかって「鉄の肺」を使用することとなり、2024年に78歳で亡くなるまでその生涯を「鉄の肺」と共に過ごしたことでギネスにも認定された人物です。アレキサンダー氏はリハビリにより一定時間であれば「鉄の肺」無しに自力呼吸を行うこともできるようになりましたが、それでも外出先に車輪付きの「鉄の肺」を持ち運ぶなど、「鉄の肺」は無くてはならないものでした。そうした状況でもアレキサンダー氏は勉学に励み、弁護士資格を取得することに成功します。実際に弁護を行う際には車いすと助手の力を借りて法廷に立ちました。晩年にはSNSを更新し自らの人生を語り伝えていきました。
さて、今回はある日本人医学者について出題します。
Q.免疫抗体の多様性は、遺伝子が自らのDNA配列を再構成する機能を持つことによることを発見し、1987年のノーベル生理学医学賞を受賞した日本人医学者は誰?
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A.利根川進(とねがわ・すすむ)
1987年の今日・10月12日、ノーベル生理学・医学賞受賞者に日本の利根川進氏が選ばれました。利根川氏の発見は、「DNAは不変である」という常識を覆すものです。免疫作用における抗体は100億種類以上あると考えられていたものの、その多様性のメカニズムは分かっていませんでした。利根川氏は実験により、抗体が対応する異物に応じてDNA配列を再構成し、自ら変化していることを明らかにしました。
そんな業績を持つ利根川氏ですが、実は京都大学に入学する以前に一浪し、予備校生活を経験しています。このことについて、「大学受験を失敗をマイナスとしてではなく、プラスとしてとらえ、その後の人生の歩みに活かしていくことが大事」と利根川氏は語ったそうです。
さて、今年(2025年)もノーベル賞の発表の時期になりました。10月6日の生理学・医学賞の発表を皮切りに受賞者が発表されています。最新の科学ニュースを知ることは二次対策などをふまえても大事なことです。ということで、次回のフォレストクイズでは今年のノーベル賞について取り上げる予定です。勉強もニュースもしっかり追いかけましょう!手洗いうがいも忘れずに!頑張れフォレスト生!
メディカルフォレスト 上山
出典
コトバンク 利根川進 https://kotobank.jp/word/%E5%88%A9%E6%A0%B9%E5%B7%9D%E9%80%B2-166050
ノーベル賞日付 https://www.jiji.com/jc/d4?p=nbj001-jlp00889825&d=d4_topics
利根川進氏の浪人生活について https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwjwkbDIwqCPAxWJma8BHavOHik4ChAWegQIJxAB&url=https%3A%2F%2Fnagoya.repo.nii.ac.jp%2Frecord%2F16210%2Ffiles%2F510.pdf&usg=AOvVaw03VvX-l-Iv9e-xkPhapUas&opi=89978449
鉄の肺について https://gendai.media/articles/-/67592
アレキサンダー氏 https://www.asahi.com/articles/ASS3G6T22S3GUHBI033.html?msockid=3481fe5aaa536e9133e9edb6ab2b6f60