フォレストクイズ」カテゴリーアーカイブ

フォレストクイズ④

2024年10月22日

第4回目のフォレストクイズです!今回は記事の更新日である「10月22日」にちなむ問題を出題します。

 

Q.シーグリーン色のリボン「ISADリボン」がトレードマークとなっている、ある症状についての理解と啓発を目的とした国際的な日は「国際『何』啓発の日」?

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.「国際吃音啓発の日(International Stuttering Awareness Day)」

国際吃音啓発の日には吃音などの言語障害について人々の理解と啓発を目的に様々なイベントが行われます。吃音は現在でもその原因などが医学的に解明されておらず、世界の総人口の1%ほどが吃音を持つとされています。「吃音」と一口にいってもその症状は様々で、「同じ音を繰り返し発音するもの」「語の頭の発音が伸びるもの」「発声が続かなくなるもの」などがあります。

こうした吃音のある人が持つ悩みは、吃音のないマジョリティの人々の無理解により生まれることも少なくありません。たとえば、学校で吃音が出たときに、その様子を他の生徒にからかわれたりいじめられたりした経験によって更に吃音の症状が悪化することもあります。また、吃音を持つ人がしゃべる際に、やたらと吃音を指摘したり、無理に治そうとしたりすることで当事者が安心して喋れなくなり、より発話が困難になることもあります。吃音を持つ人々の悩みが解決されるには、吃音のないマジョリティの人々の理解が必要不可欠であるといえます(このような構図はマイノリティをめぐる問題の多くにいえることです)。

さて、吃音を持つ人として有名なのは、1994年に『スキャットマン』でデビューし世界中に大ヒットを飛ばしたスキャットマン・ジョン(Scatman John)ではないでしょうか。彼は自身が持つ吃音を逆手に取り、独特な歌唱法で歌をうたって注目されました。『スキャットマン』の歌詞は吃音の症状を持つ子どもを勇気づけるものになっています。耳に残りやすい曲なのでフォレスト生でも聴き覚えがある人もいるでしょうが、歌詞も見ながら聴いてみると新しい発見があるかもしれません。息抜きに聴いてみてはいかがでしょうか。

 

10月も下旬となり、気候の変動が気になるころ。くれぐれも体調には気を付けて、手洗いうがいで日々を乗り越えていきましょう。頑張れフォレスト生!

 

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

 

(次のフォレストクイズ更新は10/28の予定です。)

 

出典

NPO法人千葉言友会Facebookより https://www.facebook.com/chibagenyuukai/posts/933244453473154:0/

日本吃音・流暢性障害学会より https://jssfd.org/kaisetsu.html

ローリングストーンジャパンより https://rollingstonejapan.com/articles/detail/38161

フォレストクイズ③

2024年10月19日

第3回目のフォレストクイズです!今回も「ノーベル賞」に関する問題をお届けします。今年(2024年)のノーベル平和賞は日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が授賞しました。広島や長崎の被爆者たちによって1956年に結成された同組織は、草の根運動によって「二度と核兵器を使用してはならない」という意識=「核のタブー」という意識を確立させた、として今回の授賞に至りました。来年で原爆投下、そして終戦から80年。当時を生きた人も少なくなるなか、その記憶と痛みを我々は語り継いでいくことができるでしょうか。

そんな原爆に関する、とある医師をクイズにしてご紹介いたします。

Q.1945年、広島で被爆した女優・仲みどりに対し史上初めて「原子爆弾症」の診断を下した、「原爆症研究の父」とも称される医師は誰?

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.都築正男(つづき・まさお)

移動劇団に所属する女優であった仲みどりさんは広島の劇団事務所で被爆。その場では命は助かりましたが、東京に帰った先で様々な症状を発症して亡くなってしまいます。

ペンシルバニア大学で放射線医学を学んだ経験を持つ東大病院の都築正男氏は直ちに病理解剖を開始し、臨床経過と併せ「原子爆弾症」の診断を下しました。これが世界で初めて「原爆症」の認定がなされた瞬間でした。都築氏はその後、調査団を率いて広島で調査と治療を行い、原爆症研究に身を投じていきます。GHQにより原爆に関する研究の発表などに規制(プレスコード)がかけられても、「人道上許しがたい」としてこれに反発。そこには、今まさに亡くなりゆく被爆者のために研究を続けなければならない、という想いがあったようです。その後も都築氏は、1954年にビキニ環礁で行われた水爆実験により被害を受けた第五福竜丸の乗組員たちを調査、治療するなど、原水爆がもたらす人体への影響について研究を続け、その先頭に立っていました。

 

平和に対して想いを馳せる。フォレスト生の皆さんにも、未曽有の病と闘った医師の姿を通して何かを感じていただけたら幸いです。体調には気を付けて穏やかな秋を過ごしていきましょう!頑張れフォレスト生!

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

(次のフォレストクイズ更新は10/22の予定です。)

 

出典

NHK ノーベル平和賞 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241011/k10014606851000.html

中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=27172

朝日新聞 https://www.asahi.com/hibakusha/shimen/2013natsu/2013natsu-22.html?msockid=3481fe5aaa536e9133e9edb6ab2b6f60

日本赤十字社 https://www.jrc.ac.jp/application/files/8816/8117/7353/dialogue_on_nuclear_weapons_jp_web.pdf

フォレストクイズ②

2024年10月17日

第2回のフォレストクイズです。前回(10月12日投稿)に引き続き今回も「ノーベル賞」についての話題から問題を出題します。今回はいきなり問題です!

Q.今年(2024年)のノーベル物理学賞とノーベル化学賞の双方で注目された、人間の脳の神経回路網を模した人工知能の情報処理モデルのことを「〇〇〇〇〇ネットワーク」という?

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.「ニューラルネットワーク」

ニューラルネットワークの「ニューラル(neural)」とは人間の神経細胞を意味する「ニューロン(neuron)」の形容詞形のことです。

今年のノーベル物理学賞は人工知能の機械学習の手法を確立した研究者であるジョン・ホップフィールド氏とジェフリー・ヒントン氏に贈られ、情報科学専門の部門を持たないノーベル賞の歴史に新たな1ページが刻まれました。ホップフィールド氏はニューラルネットワークに物理学の理論を取り入れ、不完全なデータから元のデータを再現することができる「連想記憶」という手法を開発しました。ヒントン氏はこれを統計物理学の手法を用いて発展させ、こんにち注目される「生成AI」の技術の端緒を生み出しました。

また、今回のノーベル物理学賞の発表を受けてニューラルネットワークの基本的な理論などを発展させた甘利俊一氏や、ヒントン氏の研究にも応用された画像認識技術を考え出した福島邦彦氏をはじめ、多くの日本人研究者が再注目されていることも忘れてはなりません。

更に、今年のノーベル化学賞ではタンパク質の立体構造の解明に際し、ニューラルネットワークの技術を用いて高精度な予測を実現した研究者に賞が贈られました。今年のノーベル賞は「ニューラルネットワーク」が発展をもたらした研究が日の目を浴びましたが、むしろこれからはこの技術を用いた研究がノーベル賞を取るのが当たり前になる日も近いのかもしれません。

 

ここ数日、関東地方は温かい日が続いていますが、気温差などで体調を崩さないように気をつけながら生徒さんには日々を送っていただきたいです。頑張れフォレスト生!

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

(次のフォレストクイズ更新は10/19の予定です。)

 

出典

コトバンク「ニューラルネットワーク」 https://kotobank.jp/word/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF-6986

NHK ノーベル物理学賞 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241008/k10014603511000.html

WIRED ノーベル物理学賞 https://wired.jp/article/nobel-prize-in-physics-2024-geoffrey-hinton/

NHK ノーベル化学賞 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241009/k10014604671000.html

日経ビジネス ノーベル化学賞 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00461/101000250/

フォレストクイズ①

2024年10月12日

今回から始まった新連載、その名も「フォレストクイズ」。理系ジャンルを中心に様々なニュースをクイズにしてこちらでお届けしていきます。

記念すべき第1回目の内容は、現在(2024年10月12日)2024年度の受賞者が発表中の「ノーベル賞」についてです。このブログが公開された時点では経済学賞を除く5部門の受賞者が発表されています。その中でも最初に発表されるのがノーベル生理学・医学賞。メディカルフォレストの生徒たちにとっても重要なニュースですよね!

そこで問題。
Q.今年(2024年)のノーベル生理学・医学賞を受賞したビクター・アンブロス氏とゲイリー・ラブカン氏がその存在と役割を解明したのは「〇〇〇〇RNA」?

 

 

 

 

 

 

A.「マイクロRNA」

マイクロRNAは文字通りとても小さなRNA。mRNA(メッセンジャーRNA)と結びついて遺伝子の働きを制御する働きがあり、「遺伝子の働きを制御するのは『転写因子』と呼ばれる特殊なたんぱく質だけである」とされていた従来の学説に新発見をもたらしました。ヒトでも既に1000種類を超えるマイクロRNAの存在が確認されており、それらの働きが異常になることで様々な病気などが引き起こされることも分かっています。また、マイクロRNAは人工的に作ることが可能で、ある遺伝子の働きを意図的に抑えるマイクロRNAを作り出すことでその遺伝子がどのような働きをするか、ということを調べられるようになりました。マイクロRNAの発見は様々な病気の診断法や新薬の製造などの研究にもつながると考えられています。

生命科学の進歩に大きな貢献をしたマイクロRNA。ひょっとしたら今年度の医学部受験でもどこかが問題に取り上げるかもしれませんね。「フォレストクイズ」ではこれからも様々な情報をクイズ形式でお届けしていきます!

生徒さんは来たる受験に向けてニュースを見る余裕もない日々を送っていることかと思いますが、体調には大変気を付けて残りの時間を過ごしてほしいです!頑張れフォレスト生!

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

出典
NHK https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize/2024/medicine/article_01.html
読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/medical/20241007-OYT1T50176/
サイエンスポータル https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20241007_n01/