日別アーカイブ: 2024年12月28日

フォレストクイズ㉒

2024年12月28日

第22回目のフォレストクイズです。今回が今年(2024年)最後のフォレストクイズの更新です。クイズ好きのスタッフである私により今年から始まった企画ですが、ご好評いただいているようで何よりです。来年にも更新はありますので是非お楽しみに。今回は今日・12月28日が誕生日である「ある作家」にちなんだ問題を出題します。

Q.空気が澄んでいて日射量の多い高原や砂浜などに多くつくられる、結核の療養所のことを英語で何という?

 

 

~答えは下にスクロール~

 

 

A.サナトリウム(sanatorium)

慢性的な症状を特徴とする結核の療養所は「サナトリウム」と呼ばれ、結核を題材とした文学作品を「サナトリウム文学」と称することがあります。海外でいえばトマス・マンの『魔の山』が有名ですが、日本の代表的なサナトリウム文学といえば堀辰雄の『風立ちぬ』ではないでしょうか。今日・12月28日は堀辰雄(1904-1953)の誕生日です。堀辰雄は肺結核にかかり、軽井沢で度々療養生活を送っていました。『風立ちぬ』はそんな療養生活を題材にした作品です。

『風立ちぬ』の序文にはこんなフレーズが出てきます。

「風立ちぬ、いざ生きめやも。」

このフレーズは作品冒頭に引用されたポール・ヴァレリーの詩『海辺の墓地』の一説が基になっています。「風立ちぬ」は「風が立った(吹いた)」という意味合いで、「めやも」という古語的な表現は詠嘆を込めた反語、疑問の表現です。よって「風が立った、さあ生きようか。いや、生きないだろうなあ。」といったようなニュアンスになります。実はこの表現は引用したヴァレリーの詩の内容が「さあ生きよう」と決意するものであるのと逆かのようにも思える表現になっています。これが単なる誤訳だったのか、それとも堀自身意図してこのような表現を用いたのかという点については、現在まで議論が絶えません。しかしながら、ここで用いられた「いざ生きめやも」というフレーズが後世まで残る名句であるということそのものは、疑いようのない事実でしょう。

 

今年のうちにやり残したことがないようにしっかりとやり切りましょう!良い体調で新年をお迎えくださいね。

 

医学部専門予備校メディカルフォレスト 上山

 

(次のフォレストクイズ更新は1/4更新の予定です。)

出典
コトバンク サナトリウムhttps://kotobank.jp/word/%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%86%E3%82%80-3153023#w-1979823
コトバンク 堀辰雄 https://kotobank.jp/word/%E5%A0%80%E8%BE%B0%E9%9B%84-134355
日本女子大学学術情報リポジトリ https://jwu.repo.nii.ac.jp/records/1912